会社の中に潜在するキケン

昨日は東京のコロナ感染者が1日最高(41人)を記録した。厚労省の週内51人の予想を大きく上回り、知事が慌てて警告を発した。


警告ではあったが、内容はこれまで様々なところで言われてきたことのつなぎ合わせみたいで、切迫感が足りなく感じた。

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しかも中身は要請や自粛、つまり自分(たち)で考えてやってよね、というお願いのレベルを少し上げただけ。


こういう言い方では「やらなきゃ」という人と、「やらんでもいいかも」という人と、完全無視(あるいは無知)に三分する。


いや、ほんとうはその間に「どうしようかな」という多数の層があることを忘れてはならない。


この層は強い方、というよりも声の大きな方に引っ張られ、流されていきがちになる。


完全無視(無知)層の人はいつも我関せずなので、とうめんはどうでもいい、考慮に入れる必要がない。


さて、どういうことが起こるだろうか。何も無ければ、つまり大事が発生しなければそれで自然と収まってしまう。


大事が起こったら、「それみたことか」と言う声が断然大きく強くなっていく。


とたんに「どうしようかな」層が雪崩を起こし始める。当然だが、大きな声の方に寄りかかっていく、流れていく。


それどころか、まだ寄りかかろうとしない人たちに対して一気に攻撃的になって、非難が始まる。物理的な攻撃さえ起こす。


怖いことだよね、でも会社の中では常にこういうキケンが潜在していることを知っておいた方が良い。


いわゆる「2-6-2」の原則なのだが、真ん中の「6」の層の意識や動きには常に心を配っておかないといけない。


企業組織の中では上(左)の「2」の層は優秀有能であるとされていて、それに多数層が引っ張られると良いのだと教える。


だが、ホントにそうなんだろうか。これもまたキケンを孕んでいるのだと考えられないだろうか。


新型コロナウイルス感染という「危機」が、多かれ少なかれ御社にも襲いかかっていると思うのだが、危機は常に(平時にも)組織内にあるということを忘れないことだ。


危機感がどういう方向に向かう力を生んでいくのか、経営トップあるいは組織のリーダーは、しっかり目を見開いて注視していなければならない。


優秀有能な「2」の力だけでなく、多数派の「6」の力をどう巻き込んでいくのか、残る「2」の力も活用できないか。


現状は待ったなしだからこそ、トップやリーダーの力が験されるところだ。


もちろん戦略を見失ってはいけない、社員とその家族のために会社を守るという戦略を。

明元素で脳力発揮を

世界的な新型コロナウイルス感染、とくに欧州ではパンデミック状態になっている昨今です。


日本では「辛うじて押さえ込めている」状態なんだそうですが、毎日のように感染者発生の情報が伝えられています。


いわゆる「IN-OUT-残」でいうと入院中の感染者は900名前後ですが、気が緩むとオーバーシュートが起こると警告されています。


危機感を持ち続けるということは必要なことですが、さりとて必要以上にあおり立てることはどうなんでしょうか。


自粛ということについても何だか「言いっ放し」の感が強く、結局こちら側に責任を丸投げをされているなぁと。


もちろん、強制力を持たれて押し付けられるというのも是としませんが、やはり適切なガイドラインがないのは困りますね。


昨日もK-1グランプリが強い自粛要請を押しのけて開催され、非難が集中している感があります。


ただ、おそらく「(開催も)いいんじゃない」という声もそれなりにあったはずで、その声が殆ど放映されないのはどうですかね。


大阪と兵庫地域では、相互移動も自主という要請は出ましたが、それより人口が多い首都圏で要請が出されないのはなぜ?



人の密集を避けろといいながら、五輪の聖火を見に来る人が殺到しているのはいいのかな。


卒業式がまともにできない学校が多い中で、防衛大学の卒業式には首相や多くの来賓も出席して挙行されている。


まぁ、世の中は矛盾だらけですね。


さて、企業経営者にとっては、まだしばらくは悩ましい状況が続くわけですが、社員さんの健康第一という視点をしっかり保って生きましょう。


そういう意味では仕事のやり方そのものを見直す機会でもあるでしょう。


無駄を省き、無理な部分を是正する。適切なバッファを持つことや、残業も減らす方向で知恵を巡らす。

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それも経営者だけでなく、社員さんも含めた全員で考え実行していく。危機感というのは、そちらの方向に使いたいものです。


亀のように縮こまっていてはいけません、良い機会だ、チャンスだと前向きな発想を持たなくては。


必ず何処かに突破口があるのですから、ただ流されているだけではもったいないことです。


小さな会社だからこそできることがあるはずと、柔軟な脳力発揮をめざしていきましょう。


こんな時だからこそ、企業としての真価が発揮されるのだと思います。底力が験される絶好の機会だと思われませんか。


今週も明元素で乗り切っていきましょう、この先に光明を求めて。

借りた金は返さねばならない

新型コロナ問題で、多くの業種業態が少なからぬ影響を受けています。


目立つところは旅行業者や宿泊業者ですが、テーマパークの休園やイベントの中止により、その周辺もまた大きなマイナスになっているようです。


プロスポーツの開催延期、高校野球など学校スポーツの大会中止などは、これからも大きな影響をもたらすでしょう。


鉄道など交通関係も、出張の減少や団体。企画旅行などのキャンセルで、ついに新幹線や航空便の減便も現実になっています。


一方でドラッグストアやホームセンターなどは売上を伸ばしており、食品販売関係も一部は品薄状況になったりしています。


これに対して政府は企業への支援などを打ち出していますが、その支援内容の過半は「緊急融資」といった類のようです。


もちろん、貸し出し基準や金利、返済条件などで通常の融資に比べれば有利です。緊急対応ということですから、すでに問い合わせをしたり資料をいただいた企業も少なくないと思います。

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売上が大きく減少すれば、多くの業種業態では仕入が先行していますから、仕入の決済資金が苦しくなるのが目に見えています。また、社員さんの給与などは待ったなしです、


当座間に合うだけの、よく言われるのが月次必要資金の1.5~2倍くらい手持ちキャッシュがあればナントカしのげますが。そうでなければ運転資金を借り入れなければしのげません。


どちらにしても借入をしなければならないとなれば躊躇はできません。二の足を踏んでいて、遅れてしまっては元も子もありませんから。


ただし忘れていけないことは、借りたお金は何であれ(いつかは)返済しなければならないということです。


少し先延ばしをしていただいたとしても。そのタイミングからは毎月返済をすることが求められます。


返済原資はキャッシュです、これも忘れてはいけません。つまりしっかりとBS(バランスシート)を見ていなければいけないということです。


PLは分かるけれどもBSはちょっと、などと言っている経営者はダメですよ。借金は右側にありますが、その返済原資は左側にしか、それも実際には「現金」しかないのですから。


時々、借入金の返済を他の銀行借入でやれるのではと考える経営者もおられますが、それは禁じ手にしかなりません。


BSの左側(とくに現金)で右側の借入金を返す、これが原理原則です。お忘れなきように。


その上で、キチンと返すことができるのかどうかの見通しを立てた上で、今がいざという時だと決心してタイミング良く、できれば先行できるようにしてキャッシュを増やしておきましょう。


政府も窓口となる銀行も、しばらくは財布のひもを緩めて、貸しても良いであろう企業を待ってくれていますから。


さらには「給付」となる支援金や補助金もありますので、会議所や専門家に詳しく尋ねてみることをお奨めします。


こちらは返さなくていいのですから。そういうものを探し出すのも経営者の役割ですよ。

コロナショックに耐えうるか

今回の新型コロナウイルス感染の影響、世間では「コロナショック」という言葉も使われるようになってきた。


週明けの昨日は日経平均株価の暴落、一気の円高、原油先物相場も大幅安など。GDP速報はコロナを反映する前だが、さらに下降してきている。


1970年代のオイルショック、90年代のバブル崩壊、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災。


それらと並ぶ、いやもしかしたらもっと大きな影響を与えるかも知れない今回のコロナショック。影響が加速してきそうだ。


まだそれほど表には出てきていないが、これから企業倒産が増えていくであろうことは容易に想像できる。


直撃を受けている旅行業や旅行者運送業、宿泊業や飲食業関連などのほか、中国と関連の深い業種なども大きな影響を受け始めている。


そんな中で3月末決算が迫ってきている。年間でみれば最後の1~2ヶ月ということになるが、それでも年間売上が10%落ちる会社もあるだろう。


あなたの会社はどうだろう、残すところ今月は20日ほどだが最終の売上見通しもつく頃だろう。


もしその見通しが「売上10%ダウン」確実としたら、利益(経常利益)はどのくらいダウンするのであろうか。


例えばあなたの会社が売上高1億円で、経常利益が500万円(利益率5%)の実績がある小売業の会社だと仮定してみよう。


ではその会社が10%ダウン、売上高が9000万円になりそうな見通しであるとして、経常利益はどのくらいになるだろうか。


売上高が10%ダウンするのだから、利益もそれに比例して10%ダウン(450万円)になるだろうと予想された方は、もう少し経営や会計の番強をやり直した方が良いだろう(というか、すぐにやるべしだ)。


では試算してみようではないか。小売業だとすると、この会社の粗利益率(売上高総利益率)は30%前後だろう、30%と仮定しよう。


なお、ご存じと思うが粗利益(売上総利益)は、売上高から変動費(変動単価×販売数量)を引いたものだ。変動費は、販売原価(コスト)の総額といったところだ。201608-5


売上高が1億円で粗利率が30%なら、粗利益額は3000万円だ。そこから銀行金利(営業外費用)などを含む経費を引いたものが経常利益だ。


経常利益が500万円ということは経費(固定費)が2500万円かかっているということになる。


そこで3月末の年間売上高が9000万円(10%ダウン)になると仮定しよう、粗利益はそれに30%を掛けて2700万円だ。


そこから経費を差し引く、この経費は「固定費」というがごとく、売上の上下には余り関係がない、つまり連動しないのだ。


そうなると、2700-2500で経常利益は200万と計算できる。何と当初予測(予算)の500万と比べると60%の大幅ダウンとなる。10%ダウンどころではないのだ。


さらにもっと売上高が減ってしまうとなると、利益が吹っ飛んでしまう。ではどこまで減るとそうなるのか?


粗利益から経費を引くと経常利益だから、経常利益(ゼロ)に経費を足したものが粗利益、つまり2500万円となる。


売上高の30%(粗利益率)が粗利益だから、2500万円を30%で割り返した売上高を求めると8333万円となる。つまり16.7%売上が落ちると利益が飛んでしまうことになる。つまりそこが限界(損益分岐点)だ。


さて、実際のあなたの会社はどうだろう。残り20日間、どれだけの最終売上、粗利益、経常利益が確保できるのだろうか。


キチンと見通しを立てて、できる限りの知恵と工夫で乗り切ってほしいものだ。

代表取締役名誉ナントカは鵺(ヌエ)か?

まぁともかく、新型コロナウイルス(COVID-19)感染の勢いが止まらない。


大型イベントが次々に中止や延期、あるいはスポーツでは無観客試合になったりして、いささかそこまでやるのかって感じだが仕方がない。


もし何かが起こったら主催者は責任を問われることだろう、何かが起こる確率は極めて低いが、何事にも「絶対(大丈夫)」はない。


政府は大きなイベントの自粛を呼びかけたが、ではそうでないものはというと地方公共団体や当事者に丸投げと言ったところ。


東京都が都の施設を使う500人以上のイベントというかなり具体的な線を出したが、それ以外は自分で判断しろってことだね。


そんなわけで、私の周りでも色んなイベントが中止になったり、これから先のセミナー・講演会などの中止や延期のメールがやってきている。


私が直接関わるセミナーは3月中に4つあるのだが、これについては小規模(10~25人くらい)なものなので、十分気を配りながら実施方向に舵を切ることにした。


地域的にも今のところ感染がほとんどない状況でもあるので、そのように判断をさせていただいた。


企業も対応が大変だ。政府も対応を呼びかけているが、対象となっているのは大企業のしかも正規社員の範囲だなと感じられる。


テレワークなどを推奨すると言われても、いったいどんな企業が対応できるというのだろう。小企業、零細企業にはほとんど無理な話だ。


接客を含むサービス業、流通業ではさらに不可能と言って良いし、さりとて仕事を休むわけにも行かない。


ここはそれぞれの企業のリーダーの判断、意思決定が問われるところだし、その判断と決定に責任を問われることにもなろう。


その企業リーダーに、時々おかしな肩書きを見ることがある。といっても小さな会社には余りない、大企業に目にする肩書きだ。


例えば「代表取締役名誉会長」とか「代表取締役相談役」あるいは「代表取締役名誉顧問」なんていうのも散見したことがある。
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最初の代表取締役名誉会長は、最近までJR東海のドン・葛西敬之氏が名乗っていた(現在は取締役名誉会長)。


調べてみると今も数社で見つけることができる。いったいこれは何だ? 勲章みたいなものなのかな。


小さな会社でも、事業承継などを行った直後から数年は、先代社長が代表取締役会長に就任することは多いが、この目的は主として銀行対策だ。


後継者よりも銀行に対して顔が利く、もの申せる。あるいは銀行からの信用力も高いということから必要な役職だと思う。


それでも、後継者と2人代表でいるのも数年、長くても5年が限度だと考えるべきだろう。私は2年でやめるべきと考えている。


事業承継と後継者を決めた時から本格「教育」が始まっているのであり、引き継いで1~2年で完全に渡せなければ先代の能力が問われるだろう。


そんなわけで、代表取締役名誉ナントカなどというものはとんでもないとして、承継後は早めに代表という重荷は脱ぎ捨てることだ。


会長である期間も短い方が良いし、相談役とか顧問あるいは社主とかいうものは「飾り物」あるいは「置物」に徹するべきであろう。


とにもかくにも、決して老害などにならないように、後継者や若者たちの邪魔にならないように願いたいモノだ。

損益分岐点売上高は間違いを招く(2)

損益分岐点は4つある、この言葉にたくさんの反応をいただきました。


そりゃあそうでしょうね、世の中に出ている経営や会計の本を眺めても、そうズバリ書いてある本はほとんどありませんから。
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では次のような例をご紹介しましょう(右上の図)。


簡単な数字で表していますので、読む皆さんが適当な単位(例えば億単位とか)に置き換えて読んでいただけばいいと思います。


売上高が100万円、総費用90万円(変動費が50万円で金利を含む期間費用が40万円)、そこで経常利益は10万円(コスト構造として原価率、粗利益率とも50%)。


ちなみにこの図は「戦略MQ会計」の図といいますが、MGをやっている方にはお馴染みのものです。図右側の大きな方(通称「4畳半図」)は掲載している経営・会計書があります。


しかしこの4畳半図だけでは、単にPL(損益計算書)を図式化したものに過ぎません。


さて、この会社の利益率(売上高経常利益率)は10%ですから、かなり優良な会社だと言えます。すなわち儲け(利益)の出ている会社です。

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また損益分岐点売上高は、公式(右の式)に当てはめて計算しますと80万円となります。税理士さんや銀行からいただく経営分析表には、そのように書いてあるはずです。


しかし80万円まで売上が落ちなくても、90万円でも、あるいは100万円と現状を維持しても赤字に転落してしまうことがあります。


この辺りの詳細は、MGを受講していただかないと紙上で説明するだけでは十分はお分かりいただけないでしょう。


一例にコスト構造がそのままでP(販売単価)が90(←100)に落ちた場合を想定してみます。


そうすると、売上は90万円と10%ダウンになります。総費用は90万円(変動費50万+期間費用40万)と変わらず、利益はゼロです。


いかがですか? 損益分岐点売上高の80万にならなくても10%ダウンで、赤字スレスレになるのです。


P(売上単価)だけではなく、V(変動単価)やQ(販売数量)、さらにF(期間費用)を変えても利益ゼロになるポイントが求められます。


つまり「損益分岐点が4つある」というわけです。この4つのポイントを明らかにするのが「利益感度分析」です。


P/V/Q/Fの4つの内、どれがどのくらい利益(経常利益)に影響するのかが分かるのです。


自社の利益感度(P感度・V感度・Q感度・F感度)がそれぞれ分かれば、どれを最も重点的に追求していけば良いかが分かります。


ちなみにかつての私の会社はP感度が1%以下、極めて敏感でした。逆にF感度は約4%。だから経費節減は努力に見合わない(ムダ遣いしてはいけませんが)。


明日からの実際行動をどうしてら良いのか、あなたの会社も試算してみませんか?

損益分岐点売上高は間違いを招く(!)

社長の役割ってなんでしょうか、社長がやるべき仕事と言いかえても良いでしょう。


ある意味それは社長にしかできない役割なのかも知れません、あるいはまた社長が全責任を負う役割なのですが。


以前に私が質問したある社長は、「金儲けです」と力強くお答えになりました。「利益を出すことです」と断言された方もいらっしゃいました。


間違いだという気はありません。金儲け、あるいはその結果としての利益を無視して会社経営はありませんから。


会社の目的(戦略あるいは存在価値)が「社員とその家族を幸せにすること」であったとして、毎年キチンと利益を出し続けることはとっても大事な要素の一つです。


ただそれは、「社員とその家族を幸せにすること」 を継続して実現するためにいくつかある、手段(戦術)の一つだということです。


そういうといくら理想を並べ立てても、先立つものがなければダメでしょうと反論されます。


もちろんです、でもあくまで利益は手段の一つであるということを力説するのです。


つまり利益だけを追いかけて、その為には方法を選ばない、不正や不法も辞さないというのは論外としても、利益を上げることに全力を注ぐことは必要だと。



百歩譲ってそれも良しとしましょうか、ですがその為に社員さんたちが毎日の仕事に疲弊し、あるいはノルマに押しつぶされては幸せではないですよね。


あるいは利益を上げるためにはコストダウンが第一だと、仕入先や協力先、下請け先を泣かせていいものでしょうか。


まぁ、そこはそのまま百歩譲っておきましょう。経営の目的達成のためには、利益も欠かせない要素であることは確かですから。


そこで社長に「利益を確保するための経営の数字はキチンと押さえていますか?」聞きますと、「それは経理担当者に任せている」のだと。


時には「ハイ、ちゃんと数字を見ていますよ」という社長もおられますが、その多くは経営担当や税理士さんから上がってくる資料を見ているだけ。


自分で経理(経営管理)や財務をやるのは、会社が小さい内は社長の役割になるかも知れませんが。


それでも、経営の数字とか会計のことは苦手だという社長の多いことは、見過ごしておれません。Photo_20200218164401


それで、ある税理士さんの書かれたレポートを紹介しようと思ったのですが、、、


その方が書かれていた、社長にとって「ここだけは見るべき」数字は、「損益分岐点売上高」「キャッシュフロー」そして「時間当たり付加価値」の3つでした。


キャッシュフローと時間当たり付加価値(MG的にいうとMQ/H)についてはその通りだと思うのですが、損益分岐点売上高はいけません。


損益分岐点売上高 はご承知のように、黒字会社の場合はここまで売上が落ちても何とか赤字は免れるという数字です。


逆に赤字会社の場合は、そこまで売上を上げることができれば赤字を脱却して黒字になりますという数字です。


ところがこれが問題なのです。ではここから先は次回に書いていくことにしましょう。

経営理念は浸透させることが大事

とある会社のコンサルティング&サポートをしていた頃のお話です(かなり以前の実話です)。


その会社は先代の社長が病気で倒れられて、他社で修業中のご子息が急遽呼び戻されて2代目の社長を受け継がれました。


たまたまMG研修を学んでおられたので、何度か研修会場でご一緒したことが縁でサポートを引き受けることになりました。


お父さんである先代社長が創業されたのですが、時流に乗って時には倍々の発展をされていた時期もありました。


ただ、資金繰りはいつも厳しく、経理を担当されていたお母さんがいつも苦労している姿を見ておられたそうです。


創業者であるお父さんの思いは折にふれて聞かれていたそうですが、経営理念といった形にはしていませんでしたので、まずは創業の心をアレンジする形で経営理念をまとめました。


先ずはそのお手伝いからサポートを始めたのですが、最初は毎月訪問して2日か3日間社長を中心に幹部の皆さんとミーティングをしていました。


その延長で、月に1回の全員朝礼(普段は部門別朝礼実施)の際に、経営理念についての話を毎回のようにさせていただきました。


徐々に、行動指針(クレド)など理念周辺も整備していきましたので、毎回毎回切り口を変えながら理念経営についてお話をしていました。


半年くらいたった頃でしょうか、ナンバー2である常務さん(先代社長の番頭さんという立場の方でした)から、次のように言われました。


「先生は毎回同じお話をされていますが、耳にたこができました。


「私も毎回同じ話はしたくない。だから、経営理念を実践してもらえませんか」と申し上げました。


実はこのネタは、かつて松下電器産業の高橋(荒太郎)副社長が同様のことを言われたことを思い出して、使わせてもらった返事でした。Photo_20200213060201


高橋さんの場合は、相手が労働組合(の組合長)だったかなと思いますが。


実は私はまだまだ「足りない」と思いつつ、毎回同じ話を続けていました。


何が足りないか、それは経営指針やクレドなどがまだまだ社内に浸透していないということでした。


経営指針やクレドを作るのは簡単だとは申しませんが、大変なのはそれを社内に、社員全員に浸透し理解してもらうことです。


理解して日々の仕事の中で実践してもらわなければ、それこそ「絵に描いた餅」だからです。


社員の皆さんが末端まで理解してくれていると実感できるまで、私は語り続ける覚悟を持って臨んでいました。


ちょうど、業界を取り巻いている景況も悪くなって危機感を持たなければならない時期でもありましたから、ここで引くことはできないという強い思いでした。


それは若社長も真っ先に理解してくれていましたので、二人で分担しながら社員に落とし込んでいったのです。


サポートのお約束は3年間でしたので、正直言って大丈夫かなと思うこともありましたが、必ずやり遂げるという強い意志で推し進めました。


幸いに「5S」という具体的な戦術を取り上げていましたので、現場も行動に結びつきやすかったのでしょう、徐々に成果が出てきました。


目に見える成果が1つ2つと出てくればしめたものです。若社長も手応えを感じたようでした。


最近は年に一度の経営計画発表会にしかお伺いしていませんが、創業者の心を反映させた経営理念はキチンと根付いているようです。


皆さんの会社ではいかがでしょう、社員は理念達成に向かって行動されていますか?

再掲・ウズク(UZK)の管理

これまでも度々書いているが、黒字倒産が増加しつつある。


昨今は黒字倒産の要因として、人材不足や事業継承が増加しつつあるが、相変わらず資金(キャッシュ)の行き詰まりが主因である。


とくに起業してから3年とか5年以内に倒産に至る企業には、この資金の行き詰まりが目立つようだ。


計画段階から資金繰りに無理のあるケースは論外として、業績を急激に伸ばしながら倒産するケースも少なくない。


とくに売上が倍々ゲームで上がる場合にはとくに要注意だと言える。企業としての体制が整わないこともあるだろうが、キャッシュに対する無知が大きな要因だろう。


製造業にしろ、販売・流通業にしろ、売上が急激に伸びる際には仕入も急増する。製造業なら材料・副材料の仕入、販売・流通業なら商品の仕入である。


在庫が潤沢になければ物作りに支障が出るであろうし、売れ筋商品を切らせては顧客から見放されるし、販売チャンスを逃がすことになる。


また売上(正確には売上回収)よりも、仕入の支払決済の方が先行することが多い。これが手元資金をドンドン減らしていく。売上は上がっているからPL上は黒字状態だ。


では在庫を持たないサービス業はどうか、こちらはもっぱら売上回収についての問題だ、いくら売上が上がっても、売掛金のままではキャッシュは減少する。


社長も営業マンも売ることについてはプロかも知れないが、経営は「売ってナンボ」ではなく「集金(回収)してナンボ」なのだ。


回収ができずに売掛金が塩漬けになってしまっていては、見かけの利益が増えるが運転資金が回らなくなって借入金が増える。


借入ができなくなった時が運の尽き、などということになってしまう。


経営者は常にウズク(UZK)をしっかり管理してほしい。「U」は売掛(売上債権)、「Z」は在庫(材料・仕掛品・製品または商品)、そして「K」は買掛(買入債務)である。202003-cfmgp


この3つはPLでは管理できない、BSをしっかり見ていかねばならない。「BSがちゃんと読めない」経営者の何と多いことか、それこそチコちゃんの『ボーッと生きてんじゃないよ!』だ。


UとZが増えれば運転資金が不足して借入に頼ることになるが、「貸したくてたまらない」銀行も貸したくない会社には融資してくれない。


「K」は上手にコントロールすることが大事だが、払うものはキチンと払うのが大原則だ。となると、やはり「U」と「Z」がカギになる。


売り上げたら早めに回収(集金)する、その為には良い得意先を持つことだ。見た目や名前にごまかされて、支払の渋い売り先を持たないことだし、持ってしまったらしっかり管理することだ。


回収も原則はキャッシュ集金だ、振込が手数も余りかからないし確実だ。手形は危険だ、手形は切らない、もらわないことが理想だ。


在庫、安いからと言って必要以上に買い込まないことだ。過剰在庫は不良在庫になる恐れもあるし、寝たままの在庫はキャッシュを生まない。


安く仕入れたと喜んでいても売れなければ、そして回収(集金)ができなければ何の意味も無い。


今こそキャッシュフロー経営とは何かを学び、かみ砕いて理解を深め、社員と情報を共有して現場で活用してほしい。


キャッシュフローMGはその学びの手段の1つだ。

暖冬に立ち向かうって?

1月も今日はもう30日、暖冬が続いており新潟市も雪を全く見ていません。


現役社長時代のことですが、暖冬の年も数回ありました。ある年の初冬、防寒コートやジャンパーが売れない時のこと。


確かにその年はなかなか寒くならず、いつもの年なら動きのよいコート類が店頭に並べてもお客様の反応が鈍いのです。
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そこで営業のメンバー中心に対策会議です。まず「現状」を正確に捉え、その「原因」を絞り出さなければなりません。


現状は明瞭です、計画に対する実績や前年比のPQ(売上)/MQ(粗利)など、数値情報が状況を明示しています。


さらに営業担当者が主要な小売店頭、百貨店などを廻ってみての感触、あるいは売り場担当者の声をいくつか聞いてきています。その辺りのことから原因を書き出します。


売れない原因は何か、まずは「暖冬だから」という声が上がり、全員がうなずきました。その後も堰を切ったように様々な要因を挙げてくれます。


例えば、今年のデザイン・ラインナップがイマイチ良くないのではないのか。販売価格が他のメーカーより高いのではないか。ポスターやDMのデザインがパッとしない。


買っていただいたお客様に差し上げるプレミアム(おまけ)グッズが、余り魅力が無いのではないか。


さらにはライバルが強力な攻勢をかけてきて当方が劣勢だ。小売店の社長や担当者の売る気、熱心さが足りない。


様々に出てきました。全部で15くらい、売れない要因が出てきたでしょうか、中にはグチっぽいものもありましたが。


出尽くしたところで質問を投げかけます、「今出てきた中で『原因』はどれとどれか」と。担当者がエッという目でこちらを見ます、全てが原因ではありませんかと。


脳力開発では、事実に対する要因を「原因」と「条件」とに厳密に区別します。この二つを混同すると真の解決に結びつきません。


そしてたいていの場合、この二つが混線してしまっていて、行き詰まりの袋小路に入ってしまっています。


区別の方法、それは極めて簡単です。自分たちあるいは自社の力を持って、何かできることがあるのが原因。自力ではどうにもできないことが条件です。


例えば暖冬、これに対して自力で解決ができるでしょうか、何か方法がありますか。変えようがありませんね、神様に祈ることくらいでしょうが、それは解決にはなりません。


ライバルに対しても、頼むから攻勢を止めて下さい、手を緩めて下さいナンテ言ったところでどうにもなりません。


でもこれからでもやれることが必ずあるはずで、まずはそれをあぶり出すことです。それを原因として対策(戦術)を複数出す。


さらにこれが重要なのですが、条件も活かせないかを考えることです。極端に言えば、暖冬を逆手にとれないか、とか。


暖冬だからと諦めてマイナス思考に落ち込んでいても、現状を変えていくことはできません。


その意味では暖冬を敵とするのではなく、むしろ条件を頼もしい味方にすることを考えてみてはいかがですか?

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