そのプロジェクトはきっと失敗します

昨日くらいでお盆休みも終わり、今日から平常通りの営業再開という会社も多いでしょう。社員の皆さんは大いにリフレッシュした顔で、出社されましたか?

 

経営者であるあなたも心身共にオーバーホールができて、新たな気持ちでスタートダッシュをきれておられるといいのですが。

 

1週間近い休みの中で、普段できない家族サービスやら自分だけの時間を過ごしたり、あるいは明日に向けてのアイディアづくりなど、充実することができておられましたら幸いです。

 

さて、今日は「プロジェクトチーム(PT)」のお話をしてみたいと思います。私自身も現役時代は多くのPTに関わる体験を持ちましたし、経営者としてもPTを主導したり、またコンサルタントとしてアドバイザーをさせていただくこともあります。

 

そんな中で、特に最近は「このPTはうまくいくかいかないか」が、初顔合わせの時にほぼ100%分かるようになりました。現役時代にもおぼろげに感じていたのですが、その時には自分もメンバーだったりしましたから。

 

もう数年前のことですが、とあるクライアントのPT会議にオブザーバー参加しました。たまたまその会社の専務とセミナー仲間で、PT立ち上げの場にお誘いを受けたのです。

 

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専務のお兄様が社長で、まだ40代の後半、お二人の父上である会長から2年前に事業継承したという話でした。社員は全部で100名くらい、営業部門が中心で他は仕入、物流、総務経理、そして開発の部門と分かれていました。

 

そのプロジェクトは全社のコンピュータ管理システムを、1年かけて全面見直しするというもので、ほとんどの部門が必ず何らかの関わりをもつものでした。

 

PTメンバーは各部門から1~2名、そこにPTリーダーの総務経理部長とサブリーダーの営業本部次長が加わって、全部で10数名でしたが、当日は各部門長も加わっていました。

 

私は友人である専務に、お願いとある一つの提案をしていました。お願いはメンバーの簡単なプロフィルをいただくこと、そして提案はメンバーに「どこの誰、なぜ来たか」のスピーチをやっていただくことでした。

「どこの誰、なぜ来たか」のスピーチはMGを体験している方にはおなじみですが、要は自己紹介というプレゼンと、PTに参加するただ今の気持ちを述べてもらうものです。

 

スピーチ自体は一人せいぜい1~2分程度、社長のPT目的の発表に続いて、全員に発表していただきました。その終わり頃に、私は隣の専務にメモを渡しました。そこには「このPTは失敗します」と書いていました。

 

専務は怪訝な表情で私に視線を向けられたようですが、私は無視していました。その間にも議題は次に移り、最後に社長から激励のメッセージがあり、初回が終わりました。

 

終了後にすぐ専務から声がかかり、社長と3人が会議場に残りました。専務から「なぜですか」と口火が切られ、メモを見た社長の顔色が少し変わったようにも見えました。

 

理由は簡単です、と私は申し上げました。要約すればメンバーに問題があるということです。第一に、初回会議に遅れてきたメンバーと部門長が数名いたこと、これなどは言語道断のことです。

 

第二に、各メンバーのスピーチをプロフィルと見比べながら聞いていて、各部門の中心(主軸)メンバーが殆どいないことが分かったのです。もちろん、PT業務に専従しようというメンバーは皆無でした。

 

もっとも、専従云々はメンバーの選択を部門長に依頼する際には、伝えていないようでしたし、社長やPTリーダー自身にもそこまでの考えはなかったようでした。

 

しかし、このPTは会社の将来を左右するくらい重要なプロジェクトです。腰掛けや自分の仕事の合間にといった意識では、いけないのではないかと申し上げました。私がもし社長だったら、即座に全メンバーの入れ替えを命じたでしょう。

 

その後のPT会議には参加しませんでしたので、詳しいことは専務の話からでしか聞こえてきませんでしたが、PTは1年の期限を大幅にオーバーし、しかもどちらかといえばシステム業者の主導で話が進んだとのことでした。

 

私が「T経営のコンサル」だったら社長も真剣に聞いたでしょうね、と専務に少し嫌みを込めて言いましたら、かれは苦笑いをして「あとはうまく運用しますよ」と応えていました。

 

あえて、皆さんにも申し上げます。PT成功のカギはメンバーにあります。少なくとも最精鋭のメンバーで構成をして下さい、しかもできれば専従に近い形で。専従できないまでも、PT最優先で動けるようにしていただけますか。

 

大企業では、「PT出向」という形をとるところもありますね。小さな会社では無理だと言われますか? そんなことではいつまでもオンリーワンにはなれませんよ。

ノー残業デーは無意味で成功しない

働き方改革なる文字が躍り始めて久しい。時代が変わり、環境条件が変わっていくのだから働き方も変わって当然なのだが、企業の方がなかなか流れに追いつけない。

 

それは大企業も中小企業も、あまり変わりがないようだ。小さな会社なら一気に変えることも難しくないだろう、とんでもない、むしろどうしていいのか分からず右往左往しているのが中小企業だ。

 

第一、働き方改革の目指すところをほとんど分かっていない。今のところ政治主導の面が表に出すぎていて、それに対する抵抗感もあるのかも知れない。

 

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あるいは、そんなものは大きな会社にこそ当てはまるもので、小さな(私の)会社には関係がないとでも、考えられているのだろうか。

 

主なところを全て省いて言ってしまえば、人口問題というか働く人口の大きな変化に対応していくために、今やれることを今からすぐにやっていこうというのが、働き方改革のごく大まかな趣旨だ。

 

残業の問題だとか、長時間労働だとか、裁量性の拡大とか枝葉末節がピックアップされているが、、あまり細かいことに目を奪われて本質を見誤りたくない。

 

少なくとも中小企業、特に小さな会社には関係のないことだなどと避けて通っていては、気が付いたら自社が渦中にいてもがいていることになりかねない。

 

そういうわけだが、今日は枝葉末節のことに触れていこう。それは残業についてだ。

 

中小企業にとって、社員の残業時間はストレートに人件費の増大、ひいては収益・利益に響いてくるウエイトが大きい。そこで、何か手を打たなければと色んなことを試みる。

 

かくいう私も、現役社長の頃には大いに悩み、次々にアイディアと称しては手を打ってきたものだった。何しろ私の会社は季節変動の幅が著しく大きくて、平均的な会社のやることがほとんど当てはまらなかったのだ。

 

詳細は省くが、色々とやった手の中で「ノー残業デー」というのもやった。週に一度、確かその時は水曜日にしたと思うが、その日は17時半の終業時以降に仕事をしてはならないとしたものだった。

 

閑散期は何の問題もない、というよりわざわざノー残業デーなど設ける必要もなかった。毎日みんな、定時には上がりだったからだ。1時間早めに帰ったもいいよ、とさえ言っていたものだ。

 

問題は繁忙期で、むしろこの時に実施したかったのだ。それは週に一度は定時に帰って、家でゆっくり身体を休めてほしいという趣旨だった。

 
ところが実際的にそれは無理な話だった。会社に居残りしなくても、パソコンとデータさえあれば家でもできる仕事が山のようにあった。しかも、超繁忙期の1ヶ月あまりは、会社でなければできない仕事が山積みになり、ノー残業デーはあっという間に崩壊した。


 
要するに見事に失敗に帰したわけだ。皆さんの会社ではどうだろう、ノー残業デーをやっておられますか?うまくいってますか?


 
20時になったら電気を元から落とす、なんてことをやっている会社もあるらしい。まさかそのあとも、蛍雪を頼りに仕事をしているとは思わないが。


 
色んな会社を見ているが、ノー残業デーが成功した事例は皆無に近い。少なくともその結果として人件費が節約でき、士気も上がり、社員の健康度も上がった、と言う話はほとんど聞かない。


 
ならば、ノー残業デーなどやめよう。敢えて残業しない日を作らず、残業に対しての制約条件なども全てやめてしまう。それこそ毎日「残業していい日」にしてしまえばいい。


 
それだけ自由度を確保した途端に何が起こるだろう。もしかしたら、社員一人一人が自ら工夫して仕事に臨み、結果的に目的が果たせるかも知れぬ。


 
大事なことはトップの気持ち、気概だ。『好きなだけ残業してよろしい』と宣言してしまえるか、あなたは。残業で増える人件費がどのくらいなのか、頭に入っていればいい。それを上回るMQ(粗利益)を稼げば済むのだから。


 
付加価値を社員のみんながつけてくれればいい。その付加価値に見合う価格で売れればいい。それが実現するようなしくみを作ればいい。


 
そんなことは分かっているとと言われる。分かっていれば、やってみることだ。やらないままに、ただ頭をひねくり回していてもしょうがない。少なくともノー残業デーなど無意味だ。

ヴァンガード経営研究所から3S経営ご提案

今日は手前味噌ブログです。

 

たまには、自社(ヴァンガード経営研究所)のPR=MGでは赤チップといいます=も、ブログに書いてみようと。8月1日に新しい会社案内ができましたので、そのお知らせも兼ねて。

 

ちなみにヴァンガード経営研究所は、私の「一人会社」です。正確には専従者として家内がいますし、社外スタッフや社外協力メンバーがいらっしゃいます。専従者以外は、共催セミナーやイベント時を除いて無給です。

 

創業は2008年6月1日、もっとも1998年前後からすでに公開セミナーの主催を始めたり、依頼を受けて経営や社員研修のサポートを行っていました。当時はまだ会社員であり、同時に出向先企業の代表取締役でしたから、「二足のわらじ」を履いていたわけです。

 

昨今は副業を認めるとかいう会社も出てきましたが、当時はもちろん私の所属会社にも副業禁止の就業規則規定がありました。そんな中で、暗黙の了解的に、休日や休暇を使える範囲での活動でした。

 

そういう意味で言うと、時代の先取りだったでしょうか。ただし、半ばボランティア的な活動でもあり、独立して独り立ちできるかという自信は乏しかったでしょう。

 

それでも自分でやりたいことは「青天井」でやるべきとの考えも持っていて、たまたま親会社に帰任することがきっかけになり独立したわけです。もっとも帰任して与えられた仕事の仕上げまで1年半という、時間をかけることになりましたが。

 

さて、今年10年目に入ってセミナーなどの活動はおかげさまで軌道に乗っていますが、もう一つの柱である企業コンサルティング&サポートの方は、まだ余力を残しています。

 

何しろ一馬力会社なので、多くのクライアントとご縁をつなぐことは物理的に難しく、これまでは限られたお客様との顧問契約としてきました。あとはスポットでのご相談に対応するだけでした。

 

しかし、一人でもやれることはないかと考えを巡らせしてみると、世の中の進化は著しく、例えばネット環境一つとっても3年、5年前とは違ってきています。ならば、さらに多くのクライアントとのご縁も可能ではないかと。

 

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そこで、新たに案内リーフレットを作成してみたのです。そこで、提案しているのが写真の「3S経営」のご提案です。

 

3Sとは、ES(社員満足)・CS(顧客満足)・SS(地域社会満足)の3つのSで、これをベースにした経営を実現していこうという提案です。そのお手伝いをするというのが、当社のミッションです。

 

詳細については、パンフレットをご覧いただいたり、ホームページでご確認をいただければと思います。
http://www.vanken.jp/concept/

 

また、新しいメンバー制として『ネット会員』制も創りました。お試しキャンペーンも近くやりますので、活用してみませんか。

あなたの会社には「社員教育計画」がありますか

いきなりですが、あなたの会社には「社員教育計画」、あるいは「人財づくり戦略」がありますか。

 

経営計画とか経営指針とかを立てている企業は、もちろん少なくないと思いますが、社員教育すなわち社内の人財づくりについての戦略までキチンと書いているところは、私の見る限りは多くはありません。

 

書いてはあります、社員教育を重視するとか人材を育てるとか、言葉の表現は色々ですが書いてはあります。中には具体的な教育目標やスケジュールまで、キチンと書いてある会社もあります。

 

ところが、その中身はいささか心許ないのです。というのは、多くの企業が言うところの社員教育はOJTが主体だったり、あるいは外部の教育会社に依頼するとか、外部研修に派遣するとかという表現までである場合がほとんどです。


 
そのOJTにしても、これから始まる実務のための初歩的指導の範疇から一歩も抜け出せないものがほとんど。大規模製造業だと、総合職や事務職でも一度製造部門を体験するようなものはあるようですが。

 

いずれにしても中小規模の会社で、どういう教育を何の目的で、誰が実施し誰が受講するのか、そのスケジュールはどのようになっているのか、そこまでアプローチしている計画書にはほとんどお目にかかれません。


 
お題目は箇条書きになっていたりしますが、いったいどんな研修なのか、なぜそれをやるのかが不明確だったり。


 
先日も、県外のとある製造会社から社員研修についての問い合わせをいただきました。ある雑誌の記事で、ソフトバンクの孫さんがやっているというMGに興味を持って、当社でもやれるだろうかというお尋ねでした。

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人事部長さんとの電話の範囲だけでしたので、詳しいことは想像を膨らますしかないのですが、これまでの社員研修ではOJTがほとんどで、新人研修で外部講師を依頼したりしているだけだと。その中身も挨拶やマナー研修という類のものでした。(写真は研修イメージです)


 
教育戦略とか中長期の人財づくり計画のようなものは、十分に形になってはいないように感じました。MG研修を実施することは可能だが、もしやるのであればまず経営者や幹部社員からやってはどうですかと申し上げました。


 
資料を送ってほしいと言うことでしたので、MGに関する手元の資料を送っておきましたが、その後レスポンスはまだ届いていません。ソフトバンクで成果を上げているという、記事に惹かれての思いつきかなと感じましたのでそのまま静観です。


 
皆さんの会社でも、社員さんの教育をどうしようかと悩まれていましたら、まずは何のために教育が必要なのか、どこを目指していくのかを考えて下さい。


 
さらに、社内の教育部門担当者任せとか、あるいはコンサルタントを含む教育会社に丸投げだけは避けてほしいものです。中小企業ならば、できれば社長も一緒に学ぶという方向性を打ち出してほしいものです。


 
ついでに余計なことを言いますが、小さな会社は背伸びをしてはいけません。高名なコンサル会社にお願いするのは、99%コスパに適わないでしょう。

全部原価があなたの会社をダメにする(その6)

一応、このシリーズの最終回(のつもり)です。

 

これを書こうと思ったら、ある経済記事が目に入りました。その中身は別として、私がかつていた業界が何故ダメになったのかという記事でした。

 

その中にこんな注目の数行があったのです。その業界は約20年で市場規模が約2/3になっているそうです。それでもまだ10兆円市場なのですが。ところが生産数量は、何とほぼ倍増しているというのです。

 

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これは何を意味しているのでしょうか。一つ言えることは、この業界の販売商品の価格がずっと下がってきているのではないかということです。もっとも、半額以下になったのかといえば、全体としてはそこまでいってはいないでしょう。

 

そうなると考えられることは、コストダウンをするために大量生産を目指したということだろうかと、推測されるわけです。1千点作るよりも1万点、10万点を作ると1点あたりのコストは下がるという、全部原価(FC)の考えに基づくものです。(写真はイメージ「大量生産」です)

 

想像してみるに、この業界の売れ筋商品は多くのアイテムが価格ダウン傾向にあったということです。それに企業が対応してきた、しかしその方法は古典的な方法だった。

 

生産性を上げることによってコストダウンを図る、そのためにもっとも最適な方法は大量生産である。しかして、多品種を求められるという消費者の傾向に対しても、それなりの対応をしてきた、そういうことだったのだと思います。

 

結果はどうなったのでしょう。

 

多くの企業が、材料供給側から製品供給側まで、いわゆる川上から川下まで四苦八苦の状況に追い込まれています。そりゃあそうです、需要以上のものを作るわけですから、余ったものは不良在庫にしかなりません。

 

コストダウンをして表面的には儲かるように見えたのですが、実はそうとはならなかったという「見事な」実例です。この業界、その昔からずっとこのやり方でした、半世紀以上も。

 

ものが乏しい、商品があれば売れる時代にはそれで良かったのでしょうが、そんな時代はもうあり得ないのに、意識も昔のままだったというわけです。

 

あなたの会社、あなたの業界はどうなのでしょおう。全部原価で月次の試算表を作り、管理されているとしたら、それは「間違いだ」ということに気付いてほしいのです。素直な気持ちで「改めなければならない」と認めましょう。

 

そして正しい、経営の数字を経営者自らがつかめるようになっていただきたいのです。難しいことでは決してありません。「やる」と決めてやればいいのです。

 

経営者のあなたが手に負えなければ、社内のやれる人間に任せることです。あるいは、今すぐやれる人間を創る(育てる)ことです。

 

しくみとかシステムとかいうほど、難しい問題ではありません。コンピュータでプログラムを組むまでもありません。手計算でもできる「算数」の範疇です。

 

ぜひ、やってみましょう。それで会社は必ずもっと良くなります。

全部原価があなたの会社をダメにする(その5)

まずは素直に、そして単純明快に(前編)

 

「全部原価があなたの会社をダメにする」というテーマは、かつて中小企業経営の神様と称された一倉定先生(1999年没)が、セミナーの中で度々言われた言葉です。

 

私ごときがそれについて提言をするのもおこがましいですが、真剣に考えてほしい製造業や工事業などの経営者が、余りに無関心というか無知というか、それではいかんだろうと憤慨しているのです。Photo

 

もしかしてあなたの会社は赤字かも知れませんね、などと申し上げますと、何を言うのかこの若造!とにらみつけられた時期もありました。昨今は私もそれなりの年齢になりましたから、さすがに若造!とはおっしゃらなくなりましたが。

 

特に工事業者や、製造業でも公的機関の入札に参加される方々は、赤字会社では入り口のところで「入場拒否」されることもあるようですから、ゼッタイに赤字は出せないと強い思いをもたれているのでしょう。

 

しかし、そのことと正しい経営をすること、会社をダメにしないこととは少し次元の違う問題です。確かに入札に参加できないことも経営に少なからず影響しますが、会社がダメになっては元も子もありません。また入札は、一つの経営戦術に過ぎませんし。

 

そのことを事例を挙げて繰り返し申し上げたこともありました。全部原価の(黒字)決算事例を持ってきて、これを直接原価でやり直してみるとこうなります(赤字決算)と、目の前でやったこともあります。

 

なのに、なのにです。

 

あとは聞く耳を持たないと席を立たれてしまう方、決算書(全部原価)は黒字だからいいんだとつぶやく方まで。

 

せっかく、経営の改革(革新)をやっていくチャンスが目の前にあるのに、もったいなくも自ら掴まえずに立ち去っていかれるのですか!?今なら引き返せますよ!

 

素直になってみませんか、確かに公開している決算書は黒字ですが、実質(実際の会社の姿)を現している決算は間違いなく赤字なのですから。素直に肯いて、話を聞いていかれませんか。

 

全部原価の決算書、これは法律で定められたものですからそれでいいじゃないですか、ただしあくまで税務署用ですから、経営(管理)には使えません。社長用の数字ではないのです。

 

そのことをまずは素直に認めて、改めて直接原価でやりかえた数字を見てみましょう。それも、専門家さんが作ってくれる変動損益計算書なるまがい物ではなく、本当の「社長用決算書」です。

 

まずは素直に、そして単純明快に。次回はそのことをもう少し詳しく。

変動原価計算書も配賦でダメダメ

全部原価があなたの会社をダメにする(その4)
 

ここまで3回に亘って、「全部原価(FC)の弊害」について述べてきましたが、それは決して全部原価を否定するものではありません。あくまで税務申告、その前提となる企業における経理処理については、このFCに準拠してやらざるを得ないわけですから。
 

しかしながら、その日(の生産活動)が終わってみないと本当の原価が分からないとか、それでは困るので標準原価などの便法を用いるとなると、ちょっと待てよ、そんな会計の数字は経営に使えないではないかと、疑問を感じるのが当たり前です。
 

早い話、同じものを1000個作るのと2000個作るのとでは原価が違う、ことをおかしいと思いませんか?その2つを店頭に並べて、それぞれの原価(計算)に従って売価を付けて売ったら、お客様は首を傾げるのではありませんか。
 

そこで疑問を感じた専門家は、変動原価計算(書)なるものを作り始めました。
 

つまり、原価に含まれる労務費を直接労務費と間接労務費に分け、同様に製造経費も直接製造経費と間接製造経費に分ける。その内に「直接」分だけを原価に組み込むというのです。
 

例えば直接労務費とは、製造に直接携わるワーカーさんの給料などですし、そうでない製造部内の事務屋さんなどの給料は間接労務費にしようというわけです。
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電気代も、工場のライン内の照明費や機械の動力費は直接経費とし、製造部内の事務所や機械にないところの電気代は間接経費にしようと。いかにも合理的に見えますが。(写真資料は「原価計算超入門より引用)
 

で、何をやるかというと、これが悪名高き『配賦(はいふ)』なる処理です。それぞれの科目について、直接・間接に振り分けをしていくのですが、これは大変な作業です。また、そんなに厳密に分けられるものばかりではありません。
 

分電盤が1つである場合、例えば照明費という電気代はどう分けるのでしょう、蛍光灯の数とかで分けるのでしょうか。パソコンの電気代は設置場所で按分する?
 

労務費にしても、工場長がラインのメンバーでもある場合には、仕事をする時間で区分していくのでしょうか。いつも事務をやっている人が、ちょっとだけラインの応援に入った時にはどうする?
 

余りに煩雑でさじを投げたくなるでしょう。そこで、何だか訳の分からない「配賦ルール」を作っておいて、それこそ「適当に」按分していくのです。それは果たして科学的でしょうか。
 

私にいわせればウソのかたまりです。FCがウソの塗り固めなら、変動原価計算なるものもそれに輪を掛けたウソのかたまりです。そんなものは、高いお金を払って作ってもらわなくてもいいです。
 

ではどうしたらいいのでしょう。
 

カンタンです、材料費以外のものは全部「(間接)経費」にしてしまえばいいのです。そんな乱暴な、と言われることが多いです。でもそれが正解です。
 

中には、外注費は原価に入るのではないかという方もいます。はい、完全外注仕入ならそれもありでしょう。しかし一部加工などの外注なら、その外注は経費に入れてしまいましょう。
 

残業代はとか、パートさんの時間給あるいは製造過程の移動運賃などは変動費、つまり原価に入るでしょうと言われますが、そんなものも一切合切原価から外しましょう。
 

そうやって、スッキリした製品個数に比例する原価にしてしまうのです。極めてわかりやすく、科学的で合理的な、誰でも分かる原価になります。その上に正しい「経営の数字」になります。
 

この数字は経営の役に立ちます。やるかやらないかは、経営者たるあなた次第ですが。

全部原価があなたの会社をダメにする(その3)

かつて私はとある製造メーカーに勤めていました。幸か不幸か、営業部門にも製造部門にも配属されることなく10数年が経過。だから、原価計算のことなど考えたこともありませんでしたし、もちろん全部原価計算(FC)で製品コストが計算されていることも知らなかったのです。
 

時々製造部門、すなわち工場に足を運ぶことがあり、そこでは生産性の向上がスローガンや毎日の目標として掲げられていたのを見て、製造部門も大変なんだと思ったくらいのことでした。
 

生産管理課というところで原価計算をしていたようですが、やたらと数字が並んでいて親しめませんでした。「今日は生産性が上がっているので、目標利益はクリアできそうだ」などと話しているのを、利益というのは営業部だけではないのだと感じたものでした。
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それがMGに出会い、原価計算に2種類あって、製造メーカーはFCなのだということを知るわけですが、まだ原価計算の入り口のところでとどまっていました。ただ、生産利益なるものは一体何だろうと素朴な疑問を抱いたものでした。
 

利益とは、簡単に定義するなら売価から原価を引いたものです。原価は分かった、しかし生産部門の売上って何だろうか。どこへ一体売っているのだ?しかも支店や営業所には「原価移動」で、一般の得意先を相手にしている本社営業部には一定の利益を乗せるのだという。
 

それは標準原価なるもので計算をされた原価を下回ると利益が出て、上回ると利益がマイナスになることがあるというのです。つまり、本社営業部への「移動標準価格」があらかじめ設定されていて、生産効率が上がれば原価が下がるので利益が出るというのです。
 

分かったような分からぬような不思議な感覚に襲われました。一体、生産(部)利益って何だ?さらに分からないのは標準原です、そいつはどうやって決めているんだい?
 

MGでは、お客様に販売する、つまり売上が上がるのは営業部門だけです。当然だ、世の中のお客様が勝ってくれてナンボなのですから、これはよく分かります。材料売却といって、材料を販売して儲けを出すこともできますが、会社のいう生産利益とはそうではないようです。
 

いよいよ頭が混乱、もしかしたら、生産利益とは夢幻なのではないでしょうか?
 

たとえば、製造部門が一所懸命製品を作った。それを営業部門が売ってはじめて売上となり、そこから利益が生まれてくる(正確には計算される)わけです。製品は、営業所あるいは流通部門の倉庫に保管され、そこから社外に出なければ利益にはならない、というのが常識でしょう。
 

ところがそうではないらしい、製造部が作っただけで生産利益なる利益が計上されるのだとさ。もしそれが全く売れなくて、倉庫に滞留したらどうなるんだ?それでも利益が上がるのかな?

製造部の人たちが努力を重ねてくれるのは分かりますが、生産性が倍になって倍の数を作っても、全部が売れてしまえばいいけれど、もし半分余ったらどうなるの?もうとにもかくにも????の連続でした。
 

以上はFCの弊害ではなく、考え方の問題なのですが、根っこはやはりFCに問題があるのです。生産性が上がればコストは下がり、その分(生産)利益が増えるのだという考え方がおかしいのです。
 

MG200期くらいやって、販売会社に出向した時に、FCとの新たな闘いが始まりました。何より、FCにはお客様という視点が欠落している、そのことに気付かされた時に、「マーケットプライス」すなわちお客様の望む・求める価格という考え方が分かりました。
 

今日も相変わらず、製造メーカーは生産利益を上げるべく、血道を上げているのでしょうか。正しい原価でマネジメントできる体制を、作らないとお客様から見放されますよね。

全部原価があなたの会社をダメにする(その2)

全部原価計算(FC)と直接原価計算(DC)とはどう違うのか、MGセミナーでこれを説明する時には、「天丼屋」さんを例に挙げます。

 

ある1軒の天丼屋さんがあります。厨房が一つですが、店の中は左右に分かれていて、左側はFCの店、右側がDCの店です。お客様は、どちら側に座るか自由に選べます。天丼を作るのはパートのおばちゃんです。

 

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このおばちゃんは標準として(平均して)、1日に10杯の天丼を作ります。1日の賃金が3千円ですので、1杯あたり300円の計算になりますね。材料(エビ、小麦粉、野菜等、米、醤油代など)代は、1杯あたり500円となっています。電気・ガス代や製造経費も1杯あたり標準で300円です。

 

これをまずFCで原価計算します。FCにおける原価は、材料代+労務費(つまりおばちゃんの賃金)+製造経費ですので、標準的には500+300+300円で合計1100円です。売価はこれを0.7で割りますので、1570円です。

 

0.7で割るのは、原価の割合が売価の70%に相当していると経験的にわかっているからです。こうして、お店の左側に座ったお客様には1570円の請求書が置かれます。

 

さて、右側に座るとどうなるでしょう。DCにおける原価に含まれるものは、基本的に材料代だけですから500円です。通常食べ物屋さんの材料比率はざっと1/3(33%)ですので、この材料代に3を掛けて、1500円の請求書が置かれます。

 

さて、このお店のしくみを知っているあなたは、どちら側に座りますか?

 

ここで問題は、このおばちゃんが本当に今日は10杯の天丼を作るのかです。ある日、張り切ったおばちゃんは20杯作りました。こうなると1杯あたりの労務費は300円ではなく、150円になりますね。電気代・ガス代なども若干下がります。

 

ですが、またある日は体調不良もあって5杯しか作りませんでした。そうなると1杯あたりの労務費は600円、電気代などは毎日同じ時間店を開けていると、ほぼ同じくらいかかります。

 

お分かりでしょうか。FCでの原価計算はその日に作る量によって、原価がその都度変わってしまうということです。しかも1日が終わってみないと、本当の原価が分からないことになります。

 

製造現場では毎日これが繰り返されています。生産効率が上がった時と、逆に下がった時とでは原価が大きく異なるかも知れません。だとしたら、販売を担当する営業部は、どの原価を元に売価を決めればいいのでしょう。

 

そこで、標準原価だの想定原価や平均原価だの、訳の分からぬ数字を持ってきて原価を決めたりしています。いい加減だなと思われませんか?

 

これに対してDCの場合は、1杯しか作らなくても10杯でも20杯作っても、原価は基本的に材料費だけですので、上の事例の場合には500円で一定です。よって売価も1500円ですから、ちゃんとメニュー表に書くことができます。

 

反論される方もいらっしゃるでしょう。だって、日本の製造会社はちゃんと原価計算してやっているじゃないか、と。

 

そうです、もちろんそうせざるを得ませんから。毎日同じ製品・商品なのに原価が上下してはたまりませんから、適当に納まるところの原価と売価を計算しているのです。でもそれって科学的ですか? 合理的だと言えますか?

 

それだけではありません、もっと大事なことが隠れています。次回はそのことについて、触れていこうと思っています。

全部原価があなたの会社をダメにする(その1)

全部原価については、かなり以前にも書いたことがあるのですが、久しぶりにまとめ直してみることにします。

 

そもそも企業の原価計算なるものの問題なのですが、その手法に全部原価計算(FC)と、直接原価計算(DC)なるものがあるというのです。おそらく、多くの企業経営者は知らないか、あるいはちょっと聞いたことがあるとか、本で読んだことがあるという程度でしょう。

 

特に関係があるのは、いわゆる製造メーカーです。流通・サービス業では、このどちらであっても(意識などしていなくても)ほとんど問題はありません。

 

製造メーカーの経営者も、どっちがどうなのかとかは普段考えたことはないでしょうね。原価計算などは、生産管理の担当者あたりがやる仕事で、経営者の自分はその計算結果だけもらえば十分だというところでしょう。

 

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税理士さんからいただく試算表や、もちろん毎年の決算書や申告書もFCで計算されて作られます。なぜなら、法律が「FCでやれ」と言っているのですから。それ以外にはやりようがない、などと思っておられるのでしょう。(写真の図は「原価計算超入門」より引用させていただきました)

 

それでも最近、税理士(事務所)から渡される資料に、「変動原価計算書」なるものがあるなあと気付いておられる方もあるでしょう。通常の試算表とは違う数値になっている、どうして?と思われたりしていませんか。

 

そこで顧問税理士あるいは事務所の担当者に尋ねると、「それはこうこうです」と説明されますが、ふんふんと聞き流しているのでは? どうしてそんなものが必要なのか、それもよく分かりません。

 

まぁ、私に言わせれば、その「変動原価計算書」なるものも中途半端で、あまりものの役には立たないと思っていますが。

 

世の中では、FCが先に誕生しました。というか、最初に原価計算という計算システムが考案されますが、それは全部原価計算(FC)だったわけです。

 

ところがある時アメリカで、とある企業経営者がヘンだと気付くのです。なぜなら、前月は売上高がかなり上がっていたのに、今月は大きく落ち込んだ。それなのに、前月より今月の方が利益が多い、どうして!?

 

頭の良い経理担当者が、それではこのようにしてみましょうと頭をひねって考えたのが、直接原価計算(DC)でした。その方法で原価計算して試算表を作ったところ、売上の多い前月の方が、落ち込んだ今月より利益が多かったという「当たり前」の結果になりました。

 

多くの企業経営者は、もうここで頭の中に???マークが連続していることでしょう。でもこれは本当の話です。

 

そしてこれも本当の話です。かつて私がサポートした製造業の会社ですが、毎年僅かずつですが利益(経常利益)を計上し、きちっと納税もしておられました。優良会社として表彰されたこともあります。

 

ところが、経営者の方が上のアメリカの会社のような状況に気付かれたのです。私に問い合わせがあり、一度原価計算をDCでやり直しましょうかとサポートしたら、なんと3期連続の「赤字決算」という結果が出たのです。

 

実際、その社長は「最近資金繰りがきつくなった」と感じていると言われ、そのあたりも精査したら、当然そうなっているだろうし今後とも大変だという結果が見えたのです。

 

多分、多くの製造会社が似たような状況下にあるのではと推察しています。あなたの会社は大丈夫ですか?<次回に続きます>

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