勢いあるベンチャーがアブナイ

知り合いのAさんから突然、私の携帯に電話がありました。Aさんはとある団体で一緒に学んでいる仲間で、年は還暦少し前くらいです。小さなお店の社長兼店長をされていて、時おり私もお店に出かけています。

出会ってから一、二度経営についての相談を受けたことがありましたので、どうかしたのかなと思いながら次の言葉を待っていました。ちょっと相談があるので、どこかでお会いできませんかとのこと。

早速行きつけのコーヒーショップを指定して、早めに行って待っていました。時間通りにお店に入ってこられたAさんの顔色は、心なしか疲れた様子に見えました。いつも快活な方ですので、ちょっと心配しました。

「お店のことで何かありましたか?」と尋ねてみると、「いや、私のことではないんですよ」と。Aさんが話し始めたのは、ご子息のことでした。確か、2年くらい前に有名私立大学を出てすぐに、会社を立ち上げられたはずでした。

いわゆるベンチャー起業ということで、私も立ち上げの相談に少しだけ乗りました。Aさんの話をまとめると次のようなことでした。ご子息は友人と二人で、アイディア商品の製品化を試みました。


創業からの1年は試行錯誤が続いたり、販路を見つけることで苦労されたようですが、商品の良さが評価されて受注が増え、製造(OEM)が間に合わないのだそうです。

そんなわけで売上は2年目に一気に急上昇し、付加価値の高い商品ですので粗利益もしっかり確保できているようです。社員も3人採用して、Aさんの息子は社長兼製造発注・仕入の担当だそうです。

資本金は500万円ですが、それだけではもちろん足りませんので、ベンチャー支援の補助金や給付金、創業支援などの名目による銀行借入(協会保証付き)で回してきているそうです。

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それが2年過ぎて3年目(3期目)に入って、経営が厳しくなってきたというのです。売上の見込みは3年目もさらに伸びることが確実で、広げて見せていただいた計画書によると年間売上予定は前年比130%です。

前年も経常利益を確保して、初年度の赤字早くも消すこともできたとのこと。当面の受注残も抱えていますので、順調すぎるくらいなのだがということです。

それなのに、ご子息が借金を依頼してきたというのです。もちろんそれほど多額ではありませんので、即座に応じることにしましたが、何だか心配だと言います。ちなみに資本金の内、100万円を個人で出資しているのだとか。

色んな話を聞いていて、私にはピンとくるものがありました。「経理は誰がやられているんですか?」と尋ねましたら、専門担当はいなくて殆ど税理士さんに丸投げしているとのことでした。

日々の経理処理は社内でやらず、半月ごとに伝票や領収書などをまとめて税理士事務所の担当に渡しているとのことでした。給与計算などもお任せで、支払明細や納付書が届いて対応しているそうでした。

「では、資金繰り計画表などもないですね」と聞きましたら、「私のところでも月次分しかありません。あいつのところにはそれもないようです」と。「集金も余り進んでいませんね」、売掛残が毎月のように増え、受取手形もあります。

「今のままだと、どこかで資金がショートしてしまいますよ」と、率直に申し上げました。「この状態が続くと、今年1年は持たないでしょう」とも。Aさんは「やっぱりなぁ」とつぶやかれました。

心配していたそうです。自分の会社でもかつて売上が急に増えていった際に、逆に資金繰りが厳しくなっていたのを肌体験で知っておられたのです。

そうなのです。売上が上がる、それも急激に上がると集金がそれに追いついていかない、目先の売上に目が向いてしまい、仕入が増えてその支払いや決済が増えること、回収(集金)が後回しになることに気付かないのです。

その辺りのことをアドバイスすると共に、きっと100万円程度の資金手当では間に合わない。Aさん(の会社)が保証することで借入をして当面を乗り切り、その後すぐに抜本策を打つように進めました。

せっかくのアイディア商品が、ダメになってしまわぬことを祈るばかりです。幸い、まだ受注残があって売れていますので、タイミングを間違わなければ大丈夫なはずです。

Aさんにも腹をすえて、息子の経営に口を出すよう強く言い添えました。

経営はじわじわ上昇し続けるのが良い

移動平均というものをご存じでしょうか。聞いたことはあるが見たことはない、あるいは自分で計算したことはない、というのが(小さな会社の)経営者の大半でしょうね。

移動平均は、変化しているデータのある範囲の和を、データの個数で割ったものです。 その平均値を折れ線でつなぎ合わせたものが、移動平均のグラフです。

例えば、自社の売り上げを12ヶ月分合計します。それを12で割った数値が「12ヶ月(短期)の売上移動平均」です。ある年の1月から12月までを合計する、次には2月から翌年1月までを合計する。

というように、1ヶ月ずらしていって12ヶ月分の合計を順番に求め、それらをそれぞれ12で割っていくのです。これを24ヶ月分にすれば「24ヶ月(中期)の売上移動平均」ということになります。
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毎月コンスタントに売上があり、それほど大きなブレのない業種業態だと、月次データをつないでもその傾向を捉えることができます。しかし季節変動が大きい場合は、移動平均を求めないと傾向が正しくつかめません。

かつての私の会社がそうでした。なにしろ、売上最大の月と最小の月との差は30倍、年度の上半期が全体の2割、残りの8割は下半期、それも大半はある2ヶ月に集中する、そんな会社でした。

移動平均を月別にきめ細かくとっていき、その数値のそれぞれに再び12を掛けて(乗じて)求める数値が、移動年系と言われる数値で、多くのデータが連続して繋がると、未来値が読めてきます。

この移動平均分析は経営の中で売上のみならず、色々なところで使えますが、多くの会社のサポートを通して感じたことは、移動平均のグラフはなだらかな方が良いということです。

急激に売上や利益が上昇する、勢いが付いて止まらない(ような気がする)。それが良いという人もいらっしゃるでしょうし、それはそれでいいでしょう。でも私は、やっぱり細々でもずうっとじわじわ上がっていく方が好きですね。

どちらにもちゃんと原因があります、原因があって結果があるのは急上昇も、なだらか緩やかに上がるのも同じです。私は急上昇の原因というのは、どのように好意的に見ても異常だと思うのですね。

もしかしたら、その急激な変化の裏で、あるいは横で泣いている人はいないのかなと思ってしまうわけです。売上が一気に上昇すれば、作る人や売る人にそれまでに類なき大きな負担がかかる。

自分たちだけの中で完了する仕事であるのならともかく、そういうものはほとんどない。下請けの会社や人がいる、外注先や仕入先の人がいる。製品・商品を運ぶ人もいれば、アフターする人もいることでしょう。

それぞれに急激な変化のツケが廻ってくる。もし、万が一その急上昇がストップしたり、逆に急降下したらどうなるんでしょうか。反動の大きさは半端ではないのでは?ないとは言えませんね、そういう事態が来ることが。

だから、ゆっくりゆったりで良いと思いませんか。亀の歩みでも良いから、少しずつじわじわと上がり続けていく。微増収微増益、移動平均のグラフが何となく上がっているかなというくらいが。

それでも10年20年、50年も経って振り返ってみるとずいぶん上がってきたなと感じられる。長続きすることがいいのだと、最近本当に感じるのです。

変化があって悪いとは言いません、時には変化も必要であり、常に進歩発展、進化向上していることは必要条件です。そしてその上昇のカギが、常に人にあるのだということ。

企業を支えている人、特に社員とその家族とが少しずつ少しずつ幸せになっていくという、そういう事実の積み重ねが何よりのことだと思いませんか。

財務諸表が読めますか?

このコラムをお読みになっているあなたが、「小さな会社」の経営者であるなら質問をしましょう。その一つめは、「あなたは財務諸表が読めますか?」という質問です。

財務諸表って何だ?という方は、まさかいらっしゃらないと思いますが、念のためにいっておくと、基本は期末貸借対照表(BS)と期間損益計算書(PL)、そしてキャッシュフロー計算書(CF)の三つです。

これを称して財務三表と呼ぶわけですが、その他にも製造原価報告書だの、売上原価報告書だの、いろんな付帯表がありますが、ともかく前三つのことを取り上げます。

それで最初の質問です。馬鹿にするなよ、これでも私は経営者だよと胸を張られる方は、一体どのくらいおられるでしょうか。あくまで私の経験と勘の範疇ですが、多分2割もいらっしゃらないでしょう。

切り口を変えて、その財務諸表をいつも見ていますか?こちらはどうでしょう。多分ほぼ皆無になったのではないかと思うのですが。決算書あるいは月次試算表、それが手元に届いてチラッと見る。

いえいえ、いつも見ていなさいと言っているわけではありません。どうせ見てもよく分からないでしょうからって、別にあなたをバカにしているわけではありませんから。なぜなら私もそんな経営者の一人だったですから。

では今なら読めるのか、うーん、まぁあなたよりはちょっぴり読めるかも知れませんが、多分五十歩百歩のことだと思います。私の方が色んな会社のそれを、ちょっとだけたくさん見てきたというだけのことです。

財務諸表は、経営者にあなたにそれほど役に立つものでもありませんから。全く役に立たないとまでは申しませんが。
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もう一つ役に立たないものを上げておきましょうか、それは経営分析(一覧)表なるものです。おそらく顧問の税理士さんや、もしかしたらメインバンクあたりからもいただいているかも知れませんね。

流動比率がどうたらこうたら、長期適合比率とか投下資本回転率だの、20いくつも指標とやらが並んでいるアレのことです。じっくり眺めてみられたことがありますか? いや、見なくてもいいですよ。

中には知っておいた方が良い比率もないわけではありません、例えば自己資本比率とかは。なぜ不要なのかっていいますと、あの経営分析表を必要としているのは大きな会社だけだからです。

大企業だの上場企業には必要な指標が並んでいますが、中小企業とりわけ「小さな会社」にはほとんど不要のものばかりですから。せいぜい、ここ3~5年の移り変わりを見るくらいでいいのです。

それだって、いわゆる異常値以外は大して意味もありません、というのが私の考えです。もしかしたら、あなたの会社の顧問の先生は全く違うことをおっしゃるかも知れませんので。

私もかつては自分が経営者であり、いまでも多くの会社の経営のサポートを仕事としています。ですが、それらの財務諸表を穴のあくほど眺めたこと、眺めることはほとんどありません。意見も余り言いません。

私は現役時代、自分の経営判断や意思決定に必要な経営情報は、自分で作っていました。あるいは信頼する部下よりいただいていました。データをもらって、それを色んな角度から加工してチェックをしました。

その時に財務諸表データは、余り使いませんでした。まして税務署に提出する申告書などは、一度も活用していません。棚に飾っておくというと言い過ぎですが、役に立たないものは見る必要がありません。

あなたは、そういう自身の経営判断や意思決定に関わる、参考になる経営資料を自ら作っていますか? あるいは信頼できる部下が作って届けてくれますか。

まさか、経験と勘だけでやっていませんよね。あるいは顧問の先生に丸投げしていませんよね。会社の中で最も経営を知っているはずのあなたが、それらを作らなくて誰が作るのでしょうか。

という問題提起をして、今日は終わりとしましょう。またいずれ。

あなたの会社の人件費は「費用」ですか?

 人件費は『費用』なのかと問われたら、あなたはどう答えますか?

この問いは、伊那食品工業の塚越寛さん(相談役になられたはずだ)が講演や著書の中で言われている言葉である。私も初めてその問いを聞いた時に、しっかり答えられなかった。(写真は伊那食品工業さん工場内の直営SHOP)
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私たちは、経営の学び(例えばMQ戦略ゲームの中)でも、人件費を「F1」として人に関わる経費だと一括で捉えている。もちろん給与(や賞与)の他に、法定福利費や福利厚生費、あるいは教育費なども含む。

それらは経費、すなわち費用として何の疑いもなく考えてきた。だから、「人件費は費用か?」と問われたら、それのどこがおかしいのかと問い返してみたくなったものだった。

だから、その時からこう思うことにした。人件費は、「費用(概念)を超えた」費用なのだと。そうではないですか、会社の目的が社員(とその家族)の幸せであるならば、人件費は目的そのものではないのかと。

働く社員への対価であるとともに、幸せを実現するために必要不可欠なもの。さりとて、多ければそれでいいといった考えではないはずだ。身の丈、あるいはあるべき姿というもので考えたい。

だから、会社の利益が上がったから増やすというものではない。もしそうであれば、会社が儲からなければ下げてもいいのかということになる。会社はいつも身の丈の少しずつのばしていきたい。

もちろん、会社が苦境に立った時には経費の節減もテーマにはなるはずで、しかも小さな会社では最も大きなウエイトを占めるのは確かに人件費だ。だから削減するのだと短絡するのはいかがなものか。

少なくとも真っ先に手を付けるものではなく、様々な費用をチェックし削減しうるものは削減した最後に、どうしてもという局面で手を付けるものでありたい。

それもまず、経営者自身が身を切るところから始めるのが本筋だ。そこまでやれば、社員の方が納得してくれるはずだ。そこまで至って初めて、必要最小限の削減をやむなくすることになる。

少なくとも、人件費を一連の費用の一つと考えるべきではないと思うのだ。それを貫くことで、社員との信頼関係が築かれるというのが、塚越さんの信念だった。社員との信頼関係は、外にも広がるものだ。

戦略は目的か目標か

『戦略』の話である。英語ではSTRATEGYという。最初に戦略という言葉を使って体系化したのは、プロイセンのクラウゼヴィッツClausewitzの「戦争論Vom Kriege」だと言われている。

とするとドイツ語だから、元々はStrategieだったということになる。もちろん「戦争論」は、ナポレオン戦争をベースに書かれたものと言われているから、文字通り戦争についての軍事戦略の書である。
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その中に展開されている、戦略と戦術などの言葉がやがて企業戦略と始めとした経営学にも採り入れられ、とくに1960~70年代に普遍的に使われるようになった(と私は考えている)。

今では一般的な経営(学)の用語になっているが、正鵠を得ている定義を見たことはない。図書館にも、本屋の本棚にも「戦略」と題した本はたくさんあるが、「戦略とはコレコレだ」と明確なものは少ない。

戦略と戦術をごちゃ混ぜに混同しているものは論外だとしても、書き手によって定義や意味づけが違っている。かくいう私も私なりの「定義」をもって語っているというわけだ。

例えばある人は、戦略とは目的だといっているし、ある人は目標だと定義する。では、目的と目標との違いって何だろうか。脳力開発の師である故・城野先生は、戦略とは「打撃の方向」と定義されていた。

例えば商売敵が目の前にいるとして、その敵を特定し(定め)、戦うのか戦わない(退く)のかを決める。つまり前者を選んで、商売敵と戦うということが「打撃の方向」になるわけだ。

では経営戦略ということに置き換えるとどうなるのか。経営戦略を決めるということは、すなわち会社が進むべき方向を決めるということに他ならない。進む方向の行き先は「ゴール」ということになるだろう。

完全にイコールであるとはいえないだろうが、そのゴールは目的と言い換えて良いのではないか。だから、戦略は広義なのか狭義なのかは別として、目的だと考えている。

経営戦略とは「経営(会社)の目的である」、私はこの定義で企業のサポートをしている。進むべき方向を決めなければ、しっかりとした羅針盤を手元に置かなければ、前に進むことはできるわけがない。

目的を定めても、ゴールはかなり遠いことがある。創業の時には理想や夢を追いかけることに、情熱を注ぐはずだ。すぐ手の届くところにゴールは置かない、はるか先にゴールを定めることが多い。

ゴールへの道は迂遠であったりする。そういう場合には、節目節目に目指すポイントを置く。これが目標なのだといえるかのではないか。目的がゴールなら、目標は道しるべにするべき標点だ。

私はそのように定義をしているわけだが、もちろん異論もあるはずだ。それはともかくとして、あなたの会社には、あるいはあなたの人生にはちゃんと戦略=目的があるのだろうか。

ボンヤリしていているのであれば、ちょっと立ち止まってリセットするのがいい。新しい元号の時代が間もなくスタートするが、その時までに明確な戦略、目的を定め直してはどうだろうか。

「いい会社」をつくろう

昨日は、新潟西倫理法人会のモーニングセミナーで講話をさせていただいた。自単会でお話をするのは、2年半ぶりである。前回は新潟に転居してきてすぐの頃の近況話、今回は本業の中からテーマを選んだ。

テーマは「『人を大切にする経営』のすすめ」とした。40分ほどの限られた時間なので、エキスだけの内容にはなったと思うが、伝えたいことは伝わったと思う。

前職を自主退職して、現在のヴァンガード経営研究所を立ち上げたのは、2008年の6月(仕事は前職時代から継続していた)のことだ。娘の誕生日である6日に開業届を提出した。

それまでにも15年以上、セミナー(MGと脳力開発)の開催を中心に副業的にやってきたのだが、そこでいよいよ本業として、人財づくりを核とした経営のサポート・コンサルティングも事業の柱としたのだった。

地元商工会議所から声をかけていただき、地域の中小企業からの相談に応じたり、専門家をコーディネイトする仕事を3年間やらせてもらったが、これも以前からのネットワーク、出会いのご縁の賜物だった。

それから11年になるが、5年くらい前から「3S経営」を経営指導のポリシーとした。3Sとは従業員満足(ES)とお客様満足(CS)、そして地域社会満足(SS)と定義して、クライアント社に提案を始めた。

それからすぐ、坂本光司先生が主宰されている「人を大切にする経営学会」の存在を知った。以前から先生の著書、とくに『日本でいちばん大切にしたい会社』を読んで興味は持っていたのだ。

そこに地元の(株)大谷さんが取り上げられていたのを知り、大谷会長の推薦をいただき学会に入会した。会長はかつて中小企業家同友会で、ご一緒することが多かった。

それから何度か学会のイベントに出て行ったり、坂本先生の著書を手当たり次第に読み進めた。本当はそこに紹介されている会社を現地訪問するのがいいのだが、今のところはほとんど実現できていない。

今のところセミナー開催やクライアント社などのサポートでなかなか時間が取れないが、近くへ行くことがあれば少しの時間でも立ち寄らせていただこうと思っている。Photo_5

そんなわけで、昨日のモーニングセミナーでは、最後に伊那食品工業さんのことを取り上げた。伊那食品工業さんは、何年か前に企業見学もしたし、家族ドライブ旅行の途中に立ち寄ったこともあった。

ちなみに、伊那食品工業さんの社是(企業理念)は、

『いい会社をつくりましょう ~たくましく そして やさしく~』である。

塚越会長は「いい会社」を次のように定義されている。「いい会社」とは、単に経営上の数字が良いというだけでなく、会社をとりまくすべての人々が、日常会話の中で「いい会社だね」と言ってくださるような会社のことです。

そして、「いい会社」は自分たちを含め、すべての人々をハッピーにします。そこに、「いい会社」をつくる真の意味があるのです。

あなたの会社は「いい会社」を目指しておられますか?

人に大切にする経営は相手中心主義

20190322-140616今週、niftyココログのロケーション、投稿方法がリニューアルされて、まだそれに慣れていないというか(私から見れば)不具合という感じで、投稿が遅れたり写真や段落が乱れたりしています。ご容赦の程。
 

リニューアルされたおかげ(?)で、ログインも初期化されてしまいアカウントのPWを思い出すのにも一苦労。何とか無事に入ることができましたが、正直「ありがた迷惑」なリニューアルです。
 

若い人なら何でもスイスイとこなしていくのでしょうけど、准高齢者の私にとっては少し変更があるだけでもドキドキしてしまいます。その内少しは慣れると思いますので、しばらくは広い心でお付き合い下さい。
 

さて、昨日は東京日帰り出張で市ヶ谷の法政大学に出向きました。市ヶ谷キャンパスのホールで開催された、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の表彰式アワードに参加してきました。
 

毎年この時期に開催されていて、私もここのところ3年間は続けて参加しています。今年も、素晴らしい会社が受賞され、その一つ一つをご紹介はできませんが、いずれ単行本が発刊されますのでぜひお読み下さい。
 

今年は全部で20社が表彰されますが、多くの企業が社員教育に積極的に取り組まれていることは、私自身がコンサルティングに於いて常に強調していることであり、力強いバックグラウンドを得たものと感じています。
 

とくに受賞社の中の数社は、年間の社員教育費が一人あたり3040万円とのこと。かつての私の会社も1520万円くらいをかけていることに自信を持っていましたが、上には上があるものです。

 

色んなお話を聞いていて、自分の現役時代を振り返ってみると、受賞企業の経営者の足下にも及んでいなかったことを痛感させられます。ひと言で言えば、私は利益第一主義の経営者でした。
 

もちろん、利益を出すことで社員にもしっかりと還元できると思い、実際にそうしてきたのですが、根本的な考えというか経営哲学が誤っていたことに気付かされます。
 

ですから、当時のことを振り返ってみながらその経営をコラムに書いていますが、確かに「良い会社」にはなったものの、「いい会社」にはなれなかった、創ることができなかったと反省しています。
 

果たして、私の経営の元で社員とその家族は幸せだったか、協力会社や外注先の皆さんは幸せだったか。お客様を本当に大切にしていたか、地域社会に存在を認められていたかなどなど。
 

上記の教育投資を始めとして、「5方よし」の経営や実質定年なし経営、あるいは離職率ゼロの経営、さらに障がい者雇用など、これからもコラム『小さな会社のマネジメント』でアピールしていきたいポイントに溢れています。
 

今後もその実際の経営を我が目で確かめながら、皆さんにもお伝えしていきたいと考えています。なお、表彰された企業・法人の中には、スタッフの方がMGを学んでおられるところもあったことを、特記しておきます。
 

今回の受賞の中には、比較的規模の大きな会社もありました。小さな会社だけではない、大きな会社も基本を確実に守り続ければ「いい会社」となれることを証明されています。
 

その心は、『相手のことを考える』(相手中心主義)ということに尽きるのではないか、その思いをさらに強くした1日でした。

就活インターンシップにひと言

 
既に来春に向けての採用活動が解禁になった。引き続いて「売り手市場」という状況が続くというのだが、そうなると中小企業とくに小さな会社は、さらに学卒の新人採用が厳しくなると思われている。

 

そこで企業はあの手この手を探り、どこかで成功したと聞くとそれにすぐに飛びつく。それを指南される経営コンサルタントも存在する。関連書も本屋に行くとずらりと並んでいるはずだ。

 

例え付け焼き刃的であっても、とにかく人を採用しなければならないと人事や、総務の担当者は目の色を変えている。私から言わせれば、「まぁやってみたらよかろう」といったところだ。

 

かつては「人財づくりコンサルタント」と名乗っていたこともあるので、私なんかのところにも相談を持ちかけてこられる経営者もおられた。今でも、何かいい方法はありませんかと問い合わせを受けることがある。

 

いくつかの成功事例も知っている。だがそれをお話ししたところで、そもそもバックグラウンドが違うのだから、どこでもやってうまくいくとは限らない。というより、成功は覚束ないといった方が正解だ。

 

最近はインターンシップを採り入れておられる企業も増えてきた。インターンシップ、すなわち就労体験とでも呼ぶのだろうか、短い期間だが実際に会社の業務に触れることで、興味をつないでもらおうというわけだ。

 

これなども、どこかでやってみて成功したという話が伝わると、我も我もと実施する企業が増える。社長辺りは、最初と最後に顔を出して短い講話でもすればいいのだろうが、付き合わされる現場は大変だ。Photo

 

何しろ相手は目下のところ『お客様』なのだ。仕事の面白さや楽しさが伝えられればいいが、そうでなければマイナスの効果を生んでしまう。易しい、ある意味どうでもいいような仕事をしてもらってお茶を濁す。

 

万が一失敗してもらっても、大事には至らないことを選んでやってもらわねばならない。もしケガでもされた日には大変なことになる。当たり障りのないところで済ませたいが、それでは達成感を与えられないだろう。

 

ただ、特別な業務プログラムを作っても余り意味はない、通常業務の中での就労体験が目的なのだから。もちろん、少しくらいのアレンジは許容されるのだろうけど。そこでこういう提案はどうだろう。

 

会社で年間を通じて実施している研修に、体験参加してもらうというプログラムだ。もちろん、それを核としながら就労体験も盛り込むわけだが、あくまで主体は研修にしておくのだ。

 

実は既にこれをインターンシップとして採り入れている企業は少なくない。問題はその研修の内容であり、インターンシップ用の特別研修では意味がない。全社員が必ず体験する教育プログラムでなければならない。

 

社員教育に力を入れている会社であることを、学生たちに感じてもらうのがポイントであり、当然に社員たちも一緒に参加するわけだが、彼らが積極的に楽しく参加していることを見てもらうことだ。

 

学生たちを囲い込むことばかりを意識してはならないと思う。あくまで自社の良いところ、他社とは違う「オンリーワン」を見てもらうことを主体にしたい。最近の学生たちは、待遇や福利厚生だけを見ているのではない。

 

この会社に身を置いても大丈夫だろうか、自分が働いて達成感を得られるかとか評価をしてもらえるかを、意思決定の基本にしている。それを感じてもらうには、普段やっている社員教育の場が最適だと思うわけだ。

社長のあなたの「責任」ですよ

繰り返しますが、私の本業は経営コンサルタントです。各地に遠征してMGMQ戦略ゲーム)や脳力開発講座のセミナーをやっていますので、「セミナー屋」あるいは講師業かと思われがちですが。

 

そこで名刺にも『よろず経営サポート』と印刷しています。ですから、コンサルタント「も」やっておられるんですねと言われますが、いやいやそっちが本業なんですよ、とは一々応えませんけど。

 

そんなわけで、イベントなどの懇親会の席ではご相談ごとをお話かけられる人もおられます。お酒の席ですから、向こうも軽い気持ちで尋ねかけられているのだろうと、こちらも「なるほどそうですか」と聞き流します。

 

それでは申し訳ないので(せっかく私を選んで聞かれたのですから)、少しだけ見たこと聞いたことなどを参考までにとお話しします。いつもなら、それで終わってしまうことがほとんどです。

 

ところがたまに、少し時間をおいてから「実は先日の件ですが」と電話をかけてこられる方もいらっしゃいます。こちらはすっかり記憶をなくしているので必死に思い出そうとします。話の断片がよみがえります。

 

一度お目にかかってじっくりなどと言われますと、これは仲間内の雑談ではなく「仕事」の範疇になります。もっとも最初はお話を伺うだけです、言わばサービスの範疇です(ホントはサービスも有料ですよ)。

 

そういうことがきっかけで昨年お伺いした会社は、社員さんが15名くらいの製造業でした。代表は50歳くらいでしょうか、先代が創業者で2代目、後を継いで間もなく10年になると言われていました。(写真は本文と関係ありません)Photo

 

先代社長は既に引退されていて、監査役という名前にはなっているが会社には滅多に出てこられないそうです。お年もすでに80歳を超えられているということでした。

 

それで何のご相談かと思いましたら、「先日の話」はそっちのけで、グチと不平不満のオンパレードです。二次あるいは三次下請けで、一次メーカー(名の知れた大企業)から厳しいコストカット要求が出て儲からない。

 

社員がアホで(とは言われませんでしたが)レベルが低い、自分の言うことをなかなか理解しない、動かない。優秀な新人が採用できない。求人広告を出しても効果がない。5S運動をやっているが、効果が上がらない。

 

とまぁ、よくも次々に出てくるものだと感心してというより、ただただアキレて聴いておりました。もっともこれは、ずい分多くの会社でこれまでも何度か聞かされてきた事柄でしたので、ただうなづいておりました。

 

独演会が30分くらい続いたでしょうか、ようやく話が途切れたと思ったら、いきなり「なにかいい方法はないものですか」とこられました。これもいつものパターンですので、「どの案件ですか」と切り返しました。

 

「えっ!?」という顔をされました。これまで累々と話してきたじゃないですか、という表情です。「聞いてなかったんですか?」とは言われませんでしたが。

 

答は出ているんです。全部、社長のあなたの「責任」というか、招いていることじゃないですかと。「一番良いのはあなたが『変わる(もしかしたら代わる)』ことですよ」とは言えませんので、ムニャムニャ。

 

適当に事例の一端をお話しして早々に退散しましたが、いやいや時間のムダをさせられました。時間給分くらいは請求してみるかなと思いましたが、帰りの車を運転しながらそれも忘れてしまいました。

チラシはもうやめたらどうでしょう

数ヶ月前のこと、ある方からご相談を受けた。

 

曰く、毎週のようにチラシを出しているのだけれど、どうも効果が感じられない。近くの大型スーパーがもっと多い頻度で、しかも大きなチラシをカラー刷りで出していてインパクトが強い、完全に負けている。

 

そこで、どうしたらいいだろうかということだった。

 

我が家は新聞をとっていないので、ネットで近隣の店が出しているチラシを見てみた。相談を受けた方とは地域がもちろん違うのだが、きっと同じような状況なのだろうと想像できた。

 

確かに全国規模の大型店が、毎週のように大きなチラシを出しているし、その他周辺の店も定期的に出している。そのほとんどがカラーのきれいなものだし、中にはクーポンとやらが付いているのもある。

 

共通しているのは価格訴求ということだ、その日の特売目玉商品を含めてとにかくこれでもかというくらい、価格強調の印刷が並んでいる。中にはカラーでないチラシもあったが、中身は大同小異だ。Photo

 

新聞をとっている家の人たち、とくに主婦層は毎日こういうチラシの洪水を眺めているのだろうか。中にはその中から「今日(どうしても)買う商品」をセレクトしている人もいるのだろう。

 

でもそれはごく少数ではないのかと思ったりする。チラシを見なくても、毎週何曜日にどこの店に目玉商品があるのか、「プロの主婦」は分かっているような気がする。我が家のカミ様もそういう情報には詳しいようだ。

 

だからその店に行くのかというと、決してそれだけが理由ではないらしい。その特売日だけに行くのかと聞くと、そうではないと言う。その店が買いやすい、どこに何があるのか頭の中に入っていてムダがないのだと言う。

 

もちろん時々はネットで調べているようだが、それはとくに買いたい商品がある時らしい。ついでに他の店のチラシも見ているようだが、あくまで参考程度にらしい。

 

そういったことを参考にして、相談をされた方に回答することにした。『チラシを止めてみませんか』と。ホームページも持っておられるので、そのページを毎日活用するように申し上げた。

 

なぜなら、くだんのお店で週一制作しておられたチラシも、他の店と中身は大同小異であったからだ。メインはあくまで価格訴求、高いか安いかの比較材料に過ぎなかった。

 

昨今のお客様が、それだけの情報をネタに買い回りをするだろうか。そう考えていたとしたら、余りにお客様をバカにしてはいませんか。もちろん、当日の目玉を当てにして来店されるお客様もおられるだろうけど。

 

他店と同じレベルの競争をしていては、より金をかけたきれいな(見栄えがする)チラシ、大きな(つまり情報量が多い)チラシ、そういったものには勝てないだろう。別の次元で「勝つ」にはどうしたらいいだろうか?

 

「勝つ」とは、お客様に来店いただけることの他にはない。お客様の求めていること・情報、まずはそれに応えることが肝心だ。それはチラシだけではない、他の方法(戦術)でも構わないのではないか。

 

何よりも、お客様のお役に立つというしっかりとした『戦略』を、持つことに尽きると思うのだが、いかが。

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