これから起こるだろうことへの考察

サマータイムを導入しようという声が上がり始めている。声を上げたのは、「しんきろう」こと森元首相だそうで、何でも2020年のオリンピックの為だという。

 

確かに、今年の気候を鑑みても猛暑のまっただ中で屋外競技を行うことは、様々な危険が伴いそうだ。選手はもちろんだが、競技を支える様々な人たちにとっても、下手をすれば「命がけ」のことになりかねない。

 

そこでサマータイムを導入しようというわけで、例えば2時間前倒しにすれば、午前7時は通常の午前5時となるので最も暑い時間を避けて競技を行うことも可能だという。

 

そうなるとオリンピック競技だけというわけにはいかないから、ビジネスの方も9時業務開始は現状の7時に開始となる?のかな。終業時刻が17時なら、現状の15時に終わるのでそこから余裕ができて他のことにも時間が有効に使える。

 

まぁ、「しんきろう」さんの言い出しそうなことだと思ったら、大手企業の多くはどうも導入に賛成らしい。大手がもし実施して業務のコア時間を変えれば、中小企業もそれに沿っていかないと面倒なことになりかねない。Photo

 

もしかしたら大手企業の経営者どもは、残業時間を有効に増やすことを考えているのかと、要らぬ気を回してしまう。サマータイムの17時はまだ日が高いし、呑みに行くのも気が引けるとは言わないが、ならば仕事を選ぶ人も多くなるのではないか。

 

働き方改革などというものと連動されたりすると、さらにことがややこしくなる可能性も。セミナー時間などはどのように設定すれば良いのだろうと、私などはたちまち悩んでしまいそうだ。

 

ところが、どうもそうは机上で考えたようにうまくいくとはいかないようだ。サマータイム導入となると、様々な問題が生じてくる。その最たるモノがコンピュータシステムだ。

 

このシステムの大幅変更が必要になるはずで、たった数ヶ月のための変更に膨大な時間とコストがかかる。何よりも、システム構築のための人員が足りるだろうか。

 

それでなくても、既に始まっている消費財改訂に向けてのシステム改定、さらには新元号に対応するための調整など、システム業者には待ったなしの作業が要求されている。

 

その上にサマータイムによるシステム変更となれば、「勘弁してくれ」というのが業界の本音ではないか。何よりも物理的に人材・人員が不足するのだ。とても限られた時間での対応は無理に思える。

 

そんなことをするよりは、オリンピックの日程を2ヶ月、いや1ヶ月だけでも後にずらせば済むんじゃないかと思うのだが、これが簡単にはいかないんだとか。理由はアメリカ(など)の都合らしい。

 

他人や他国の都合で面倒をかけさせられる、あるいは命の危険にさらされる方こそ、いい面の皮だ。それならいっそ、オリンピックをやめちまえ!などとは言わないが、納得いかないよなぁ。

 

「しんきろう」さんも、今ではもう遅きに失したのだろうけど、ダメ元で開催を最も季節的に良い時期にと強く推すべきだったろうな。そうすれば、もう少しマシな評価をもらえただろうに。まぁ、死んだ子の年は数えまい。

P/Lは読めてもB/Sはねぇ(2)

MGに出会うまで財務諸表がほとんど読めなかったことは、前回も書いたとおりだ。MGをやっても、毎回マトリックス決算表で決算を繰り返しているのに、まだ分からなかった。

 

そうなんだよね。MGで用いている第5表・マトリックス決算表では、ちゃんと自力でB/Sが作成できるようになっているのだが、「作っている」ことにも気付いていなかったわけだ。

 

通常の財務諸表のB/Sでは、右左に科目が分かれているが、マトリックス決算表では期末B/Sが縦と横に表示される(しかも期首のB/Sも)。

 

ここでテキスト的な話をするのだが、B/Sの左側が借方で右側が貸方だ。借方側を資産の部といい、貸方側を負債・資本の部という。合計がそれぞれ総資産、総資本だ。

 

当然だが、左右の合計金額、すなわち総資産と総資本はイコールだ。だからバランスシートと呼んでいるわけだ。

 

ついでにいうと、総資産の方を運用、総資本の方を調達ともいうと書いてある教科書もある。要するに何なんだ?

 

分かりやすくいうと「残り物」を集積した表のことだ。しかもその残り物は、すべて金額で表すことになっている。

 

左側の残り物は目に見えるものが比較的多い。例えば一番分かりやすいのは現金であり預金であり、在庫だとか、土地建物、機械や車両の類だ。

 

右側の方は目に見えるものもあるが、見えないものが大多数だ。見えているようで見えないものという方がいいだろうか。借入金とか資本金だとか。

 

別途積立金などという、素人には全く訳の分からないものもある。私は、「この積立金はどこの銀行に積み立ててあるのか」などと、とんでもないことを考えたりした。

 

いずれにしても、年度末最終日に残ったものをかき集めて表にしたものと思えばいい。問題は、その残り物の中に良品と悪品とがあるということだ。Photo

 

しかも、同じ科目の中に良品と悪品が混ざっていて、一目では区別が付かない。色分けして書いてはいないからだ。

 

例えば商品在庫だが、「確実に1年以内に売れる商品」、「売れる見込みが高い商品」、「売れ残る可能性が高い商品」、「絶対売れない商品」の4つくらいに分けるといいのだが。

 

各項目(科目)に、それぞれ種類数は色々だが、色分けした方が良いものが多々ある。これは左側だけでなく、右側にもある。

 

経営者は、その色分けをしっかりと把握しなければならない。とくに問題になるのが、不良在庫とか不良売掛金とか、「不良」と名を付けられるモノたちだ。

 

左側にあるものは「塩漬け」とも呼んでいる。ちっとも美味しくない、それどころか企業の健康に悪いものばかりだ。遊休土地、遊休機械なども同じ。

 

あなたは、この塩漬け資産をどこまでつかめているだろうか。

P/Lは読めてもB/Sはねぇ(1)

仕事柄たくさんの経営者にお目にかかる。業種業態は様々で、私もとくに選別はしていない。コンサルタントとして得意分野がないわけではないが、素人目で見た方が惑わされなくて良いことも多い。

 

社会人としてのスタートは労務屋だったし、その過程で社内報づくりを業務としたこともある。転職して企画屋になったが、それも初めは販促宣伝企画屋で、途中から経営企画屋になった。

 

最初の会社は非鉄金属製造業で、その次はアパレル(主としてスクールユニフォーム)製造販売の経営企画をやったわけだが、その後ユニフォームの卸業、販売会社に移って経営をやることになった。

 

いずれにしても30数年間実業の中に身を置いたわけで、それなにり現場の飯を食ってきたことになる。

 

経営企画屋になる前は、数字とはほとんど無縁だった。社員株主になって決算書をもらっても、ほとんど内容を理解できなかった。せいぜい、損益計算書(P/L)の「利益」を見て黒字なんだと思う程度だった。

 

でも、その利益と名の付くものが5つもあることには気付いても、どれがどうなんだということは知らなかった。知らないわけに行かないと思い、参考書を買って読んで表面的な理解はしたかも知れない。

 

経営企画屋になってすぐにMG(MQ戦略ゲーム)との出会いがあり、何事も継続だと学び続けている内に、すべてのことが氷解して理解出るようになり、今ではコンサルティングをしている。

 

ところで、経営者でも財務三表、つまりP/L、B/S、C/Sがすべてキチンと読めて理解できて、さらにそれを見て次の手を考え実行できる人はほんの一握りだ。

 

まぁ、財務三表(決算書や月次試算表など)は過去のデータ集積なので、どこまで経営の役に立つかは議論の余地があるが、それでも読めるに越したことはない。何しろ会社の「通知表」なのだから。

 

通知表あるいは健康診断結果表といっても良いわけで、どこが良いか悪いか、変化しているところはどこなのか、くらいのことは分かるはずだ。病巣発見の助けくらいにはなるわけだから。

 

ところがP/Lは読めても、B/S(貸借対照表)が読めない経営者が少なくない。C/S(キャッシュフロー計算書)はB/S(とP/L)の延長上にあるので、何としてもB/Sを理解して欲しい。Photo

 

MGを学び、期数を重ねてそろそろ100期を迎えようというのに、B/Sのことがもう一つよく分からないという方がいるのは、ちょっと嘆かわしい。まぁ、自己資本比率くらいは分かるのだろうけど。

 

昔々、MGを始めてしばらくの頃に、ある人が私にこう教えてくれた。「P/Lは食パンのふわふわした美味しいところ、そしてB/Sは食パンの耳だ」と。その時は???だったが、次第に分かってきた。

 

何しろ、転身した販売会社の状況は最悪で、辛うじて債務超過でなかったくらいのデッドラインだった。その要因はもちろんP/Lの中にもあったのだが、最大の課題は実はB/Sにあった。

 

それが一目で分かったのは、MGを200期続けてやったおかげであった。続く。

5%と10万円の投資ができないの?

 
今日のタイトル、これまでもこちらのコラムに数回、表現を変えながら書いてきたことです。5%とは、労働時間の5%を従業員教育として使いましょうということ、10万円はもちろんその費用(支出)です。

 

それにしても未だに、経営の要素(あるいは資源)とは「人・物・金」だと思い込んでいる経営者の多いこと。さらにはそこに、情報やら技術やらを詰め込もうとする不届きな学者・評論家がいますが。

 

とはいえ、私もつい最近までは「経営の三要素とはヒト、モノ、カネです」なんて講義をしていました。しかしそれは教科書的な経営学であって、経営ではないのだと気が付きました。

 

もちろん、そう教えていた時にも「後の二つの物はヒトが使う物」なんて、分かったようなことを言っていたのですが。そうではない、企業は何といっても「ヒト、ヒト、ヒト」なのだと今は断言します。3

 

だからこそ、経営者は自分自身を高めていくことはもちろん、社員さんの成長を願って教育に力を注いでいかなければなりません。

 

小さな会社ならではというなら、社員さんの「教育」の中に社長自らが入っていくことも可能ですね。時には講師として、時には一緒に学ぶ仲間として、正にそれが『共育』と呼べるモノでしょう。

 

中には、外部の教育機関あるいはコンサル会社などに丸投げしてしまう、自らは参加せずに現場のリーダー任せにしてしまう経営者も見かけますが、それでうまくいっている例は稀です。断言できます。

 

第一に、従業員教育とは何かについて良くお分かりでない経営者も多く見かけます。そこでちょっとおさらいをしてみますか、会社の中での教育とはどんなものかを。

 

代表的なのはOJT、すなわち日常業務を通じての従業員教育。現場リーダーたる幹部社員や、先輩社員が担当することが多いですね。

 

これに対して社外で行う教育訓練がオフJT、現場から離れて学ぶところに意味があります。内容は業務に直結するスキルアップ教育とは限らず、広範囲に亘ります。

 

この二つが企業における教育の柱になりますが、ほかにも朝礼(や終礼)を通じての教育、通信教育などを活用する自己啓発などもあります。OJTでも、PTなどを通じてより実践的に行う教育もあるでしょう。

 

そしてこれらにかける時間と経費が、5%であり10万円であるというわけです。かつての私の会社では、MGと脳力開発を中心に、オフJTだけでざっと年間一人100時間を教育に使ってもらいました。

 

費用は最初から、年間MQ(粗利益)の2%を教育として予算化していました。ざっと250300万円、社員15名として一人1620万円ということになります。だからこそ、毎年利益を確保し税金もしっかり納付しました。

 

背伸びをする必要は決してありませんが、経営者が明確な教育理念をもっていれば、自ずと「5%・10万円」は実行していけるはずです。その成果が必ず実ることを信じてやり続けませんか。

あなたの会社は当たり前の会社か?

かなり昔の本だが、新潮文庫に『良い会社』というのがあった。

 

その中に書いてある「良い会社度を測る10項目」を列挙してみよう。

 

1) 専門能力  プロとして通用する能力が開発できる

2) 評価内容の公開  社内での自分の実績が分かる

3) サービス残業  時間外労働には対価が支払われる

4) 自発性尊重  社員の希望をかなえ、納得ずくで仕事をさせる

5) 休日  大切な休みを社用でつぶさない

6) 社会活動  市民として積極的な参加を奨励する

7) 雇用契約  社員を人間として尊重する

8) 意思疎通  自由闊達な社内コミュニケーション

9) 企業目的  どんな会社をめざすのかが明確

10) 上下関係  上司への全人格的従属をせずに済む

これを見て、あなたはどう感じられるだろうか。Photo_2

 
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年くらい前の本なのだが、これら全部は「当たり前」のことではないか? それもごくごく当たり前、初歩的なことばかりではないかと、私は思うのだがいかがだろうか。

 

そういう当たり前のことがやれているのが「当たり前の会社」ではなくて、「良い会社」のレベルなのだということにもいささか驚かされる。

 

そして問題は、現在の企業のかなりの部分が、この「当たり前」さえ満たしていないのではないかということだ。しかも状況はより悪くなっていると思わざるを得ない。

 

正直言って、いわゆる大企業や上場企業の中で、上記の当たり前の10項目が全て当てはまる会社がどれだけあるだろうか。ゼロとは思いたくないが、限りなくゼロに近いのではないか。

 

それどころか、ブラック企業と言われる会社とか、そこまではいかないまでもグレーゾーンの会社がずらりと並んでいる印象だ。それをまた、「働き方改革」なるもので覆い隠す、あるいは緩和するつもりのようだ。

 

あの改革は誰のためのものかを考えると、正に自明の理ではないか。少なくとも私は、いわゆる大企業や上場企業に都合良く運用されていくのだろうと危惧している。

 

今や、上記のような当たり前を満たしているのは中小企業にしかない、それもおそらく一握りの。

 

しかし、その中のまたいくつか、すなわち絶対数はほんの僅かしかないわけだが、その当たり前の何倍も素晴らしいことをやってのけている会社もある。そのことが救いだと言える。

 

私のクライアントには、まずは上記の当たり前をクリアしていただこうと思う。そしてその内のいくつかについて、より良いレベルに引き上げていくよう支援しよう。

 

誰のために? 言わずと知れている、社員とその家族のためにだ。

あなたの会社の危機管理は機能したか?

先週来の西日本大水害は、死者と行方不明者が150人を超えるという、正に未曾有の災害となりました。ようやく週明けは落ち着いたようですが、まだまだ油断はできません。

 

大地が、とくに山の斜面などが大量の水を含んでいるために、崖崩れなどの危険性が去ったとは言えないのだそうです。

 

欧米の人たちが日本の川を見、「これは滝か!?」と驚いたという話も伝わっていますが、山の水を集めた河川は依然として反乱の危険性をはらんでいます。Photo

 

いずれにしても、なお警戒する心を保っていなくてはいけません。また、交通網の遮断などで企業活動も停滞を余儀なくされているようですが、安全に配慮を願いたいものです。

 

状況を見ての判断、意思決定が遅かった事例が今回も目につきます。予測をはるかに超える大雨ということを割り引いても、危機管理が不十分であることを露呈しました。

 

中には、肝心な時にトップが不在という事例もあったようで、不在の際の対応策が確立していなかったことを大いに反省し、組み立てを急ぐことが必要でしょう。

意思決定の仕組みなどは、平時と非常時とで違って当然ですが、そういう意識すら薄いことを痛感させられました。

 

あるいはまた仕組み(システム)などはできていても、キチンと運用ができないという事例も見かけました。仕組みがあるから大丈夫とは言えないわけです。

 

不測の事態、とくに交通障害や停電などが今回も大きなファクターとなりました。まだ回復に数日かかるというところも少なくないようです。

 

企業活動もそうですが、社員の皆さんの生活も含めて、企業は非常の場合のことを考えていかなければならないでしょう。

 

普段から「人が大切」といっている企業が、この非常の場合に何ができたのか、何をしたのか、胸に手を置いて見直してみることも必要です。

 

災害が起こってから考えるのは遅いかも知れませんが、この次に起こることを考えて「備え」を整備していくことはムダではありません。

 

小さな会社だからこそ、できることは山ほどもあるはずです。

 

最後に被災された地域の皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。

価格競争の行く着くところは・・・

これもまたかなりの昔話です。

 

私が主催していた研修セミナーに、時々社長ご本人や奥様、社員さんが参加して下さる会社でした。ある商品群を扱う小さな卸問屋さんで、奥様と3人くらいの社員さんの小さな会社でした。

 

それでも社長さんが確か5代目というから、戦前から続いているその地方では割合名の知れた会社でした。会社は小規模卸団地の中にあり、小さいながらも効率よい社屋でした。

 

いつも綺麗に掃除が行き届き、玄関先には季節の花のポットが置かれていて来訪者の目を慰めていました。玄関を入ると社員さんがみな立って、「おはようございます(あるいはこんにちは)」と明るい声で出迎えます。

 

とくに社長室もなく、みんながワンフロアーで和気藹々に働く職場で、事務所の奥に商品倉庫があり、そこもいついってもキチンと整理整頓されていました。

 

注文があって商品を切らさないことや、納期遅れを起こさないことが自慢というか、その会社のプライドだともおっしゃっていました。金の品質を銀の価格で売ることが社是にもなっていました。

 

そんなある時、社長が暗い顔で「相談があるんです」と来られました。コンサルティング契約はしていませんでしたが、セミナーによく来て下さるご縁でお聞きすることにしました。

 

そうしたところ、「販売先の1社、それも売上トップの会社から、納入商品の一律値下げの要求があったんです」とのこと。何とその会社の売上は全体の6割にも達すること、それもこの10年余りで急激に伸びたそうです。

 

どうすれば良いかとの相談でしたが、頭からはねつければ取引をバッサリ斬られてしまう恐れもあります。何でもライバル社がそこに攻勢をかけていて、どうも主力商品についてかなり値下げした見積もりを出したらしいのです。

 

そこでもし今までの取引を続けるのであれば、その主力商品を含めて一律の値下げをするようにという、お願いというよりも一方的な押しつけという感じです。Photo

 

「もし要求を呑んでしまうと利益率が一気に下がり、今の会社を維持していくことができなくなります」と。さりとて、メーカーや仕入れ先に値下げをお願いしても無理だろうし、自分はやりたくないのだと。

 

ましてや利益が減少するからといって、ただでさえ少ない社員を辞めさせることなどできないし、給料を下げることも本意ではない。

 

おそらく、その取引先は今後も折にふれて値下げ要求を出してくることでしょう。売上の60%を依存するまでにしてしまった社長の責任ですが、それをとやかく言っても仕方がありません。

 

将来を見据えた今後の経営方針・営業政策を立て、奥様や社員さんともじっくり話し合い、まず自分や奥様の報酬を下げ、場合によっては社員さんにもお願いする。

 

その上で60%の販売シェアを、少なくとも30%くらいまで下げる努力を56年かけて行うこと、その具体策をいくつか提案しました。とにかく、社長として強い意志を持って事に当たりましょうと。

 

血のにじむ努力をされました。社長も奥様も、報酬半減どころか2年間くらいは13くらいにして、社員さんの給料は維持して賞与を少し我慢してもらったそうです。

 

社員さんの方から給与カットの申し出があった時は涙が出そうになったが、感謝しながら断ったそうです。そして多の既存得意先とのパイプを太くすることや、新規の顧客開拓づくりや直販への挑戦なども行いました。

 

それから相当の年月が経ちましたが、その会社は今も健在で息子さんも入社されて新しい社員さんたちとも、一緒に汗を流しておられるそうです。

 

ちなみに一律値下げを要求してきた会社、ならびに低い見積で攻勢をかけてきたライバル会社は、ともに現在は別のところに身売りしてしまったそうです。

心の教育、正しい人間教育がカギになる

新しい仕組み、システムを導入したのにうまくいかないんだよなぁ。時々耳にする社長の悩みだ。

 

ある企業がそのシステムを使って成功している話を聴き、実際に会社を訪問して使っている現場を見せていただき、これは良いということで早速自社に導入したのはいいのだが、うまく動いてくれない。

 

具体的な事例を集めると1冊の本がすぐにできるくらい、世の中にこういう話はとても多い。

 

現に私のクライアント会社でも、他社でうまく活用されているコミュケーションシステムを試用されているが、2ヶ月くらい経った今もどうもうまく機能していないようだ。

 

どうしてだろう、とそのクライアント会社の社長から尋ねられて、「きっと企業風土の違いだね」と答えておいた。つまりベースとなっているものが違うので、道具だけを更新してもすぐにはうまくいかないのだ。Photo

 

企業風土というのは、業種業態とか企業の大小には無関係で、創業以来積み上げ染みついたものだ。一朝一夕には変わらないが、決して変わらないものではない。

 

もっとも経営者がいきなり変えようとしても、そうは問屋が卸さない。さりとて時間が経てば変わるものでもない、やっかいといえばやっかいなものだ。

 

しかし、時間をかけてでも変えねばならないと経営者が判断し、強く意思決定すれば変わる方向に向かう。大事なのはトップの強い思い、こうなりたいと念じる心だ。

 

つまり大事なのはスキル教育ではなく、心の教育だ。上記のコミュニケーションシステムでいえば、操作技術ではなく利用技術(リテラシー)の方が大事だということだ。

 

このシステムを使って何をしようとしているのか、使うことによってどのように(自分たちの)仕事にプラスになるのか、そこをしっかりと示さねばならない。

 

その上で実際に使ってみて、なるほどこうなるのかと納得できたら強い。時間がかかっても、そういう心のレベルまで達してほしいものだ。

 

そうなって初めて有用なシステムも機能するし、期待する結果も生まれてくる。何より経営者も社員も仕事がより

佳くなり、効率も成果も上がってくるというものだ。

 

急がば回れと言いたい。システムを構築し、それだけでうまくいくならどんな会社でも成功する。しかしそうではないから、キチンとやったところに成果というご褒美が来るのだ。

 

つまりは社員教育それも心の教育、正しい人間教育がカギだ。それをおろそかに、あるいはいい加減にしていて、道具や仕組みだけをピカピカにしてもダメだ。

 

戦術で戦略は変えられない。心してほしいものだ。

人材教育に掛ける費用と時間

先週から今週、連日各地でセミナーを開催していただきました。

 

先週の土日が神戸でキャッシュフローMGセミナー、明けて月曜日は同じく神戸で脳力開発講座、いずれも共催・主催研修でした。

 

さらに火曜日は高知でマイツール教室、水曜と木曜は同じくキャッシュフローMGセミナーと続き、京都に移動して昨日からMGセミナーです。

 

神戸と高知は公開セミナーでしたが、京都は元来企業内研修を公開にしてご縁につながる多くの方が参加されています。20180614_101833

 

いずれのセミナーも、参加されている方は経営者であったり、社員の皆さんであったりと様々です。これはMGの特長でもありますが、階層とか役職にとらわれないのです。

 

参加企業に共通していることは、言うまでもなく社員教育に力を入れているということです。では、どのくらいの費用と時間を掛けるのが適当でしょうか。

 

もっとも社員教育と言いましても様々なものがあるわけで、大きく分けるとOJTとオフJTの二つです。小さな会社の場合はOJTだけしかやっていないことも多いようです。

 

OJTの場合は業務と並行してやりますので、経営者や幹部・先輩社員がその任に当たり、技術教育や業務教育が中心になることは言うまでもありません。

 

朝礼(あるいは終礼など)も、ある意味ではOJTという社員教育の一環と言えるかも知れませんね。

 

一方オフJTは、業務に直接関連したもの、例えば技能などのスキルアップを目的とした社外機関での講習などの他、人間力や人格向上のための研修もあるでしょう。

 

これらを総合して『社員教育』というわけですが、ではどのくらいの費用と時間を掛ければいいのでしょうか。多く掛けるに越したことはないものの、無限というわけにはいきません。

 

一つの例として、私はかつて自分の会社で「MQ(粗利益)の2%」というガイドラインを、設定していました。ざっと1億5千万円くらいのMQだと、教育費は年間300万です。

 

これが妥当なのかどうかは皆さんで判断していただくとして、実際には国の助成金などもうまく活用して、実質負担を下げていたことも事実です。

 

時間はというと、総労働時間の5%くらいはかけるべきというのが、私の持論です。総労働時間が年間2000時間なら、100時間くらいは教育にかけるということです。

 

私の会社ではオフJTだけでそれに近い時間をかけていました。効果が出てくるまでは時間を要し、個人差もありますが、それでも業績向上に結びつきました。

 

まず社員教育に費用と時間をかける。利益が出てからやるという企業も耳にしますが、それは考え方が反対です。教育を地道にやるから、利益という効果を生むわけです。

 

あなたの会社は、社員さんの向上と幸福のために、しっかり費用と時間をかけていますか。それは結果として会社の未来に通じるということをお忘れなく。

なぜこの会社は生き残れなかったのか。

これは最近の体験話ではありませんが、でもおそらく今でも見られることではないかと思います。実名は出すことができませんので、若干実話をアレンジしていることをお許し下さい。

 

ある日、とある機関からの依頼で、少し離れた町にある会社を訪問することになりました。ピーク時の売上高に比べて現在はおよそ半分に落ち込んでいて前期は赤字だったし、今期の見通しも良くない。

 

大胆な経営改革改善を進めていきたいので相談に乗って欲しい、他社で実行してうまくいった事例や、新たな経営戦略についてアドバイスをお願いしたいということでした。

 

たまたま繊維・アパレル関連の製造販売会社でしたので、ジャンルは違うものの元アパレルにいた私に声がかかったようでした。

 

その町はかつて繊維業で栄え、戦後一時は「ガチャマン景気」で夜の繁華街も賑わったそうですが、それも既に過去の話、今では企業の数も全盛期の数割に落ち込み、町全体も構造不況に沈んでいる状況でした。Photo_2

 

そんな一般的な知識・情報を頭に入れながら同社を訪問しました。事務所は工場と同じ敷地に2階建ての瀟洒な作りで、古ぼけた工場とは対照的に垢抜けた感じでした。

 

入り口の自動ドアが開いて「おはようございます」と入っていきましたが、殆どの方がパソコンの画面を見ておられて、私の方に視線をチラリと向けた方もすぐに画面の方に。いわゆる受付業務の方はいらっしゃらないようでした。

 

しばらく待っていると、お盆にお茶をのせた女性が現れこちらに近づいてくると、「いらっしゃいませ、少しお待ち下さい」と事務的にいうと、社員の方にお茶を配り始めました。

 

それが一通り終わってようやく私の方にやってこられました。でも「お待たせしました」でもなく、「いらっしゃいませ、ご用件をお伺いします」と。あららと思いましたが、ニコッとして「社長とお約束しているのですが」。

 

私を来客用(とおぼしき)椅子に案内するでもなく、「少々お待ち下さい」でもなく、無言のまま電話の内線ダイヤルをプッシュされたようです。そして二言、三言。そして自席へ戻ってパソコン操作。

 

なんとなく意気込みを削がれた感じでそのまま待つこと5分、つまり社長もしばらく社長室から出てこられなかったのです。ふと事務所の正面を見ましたら神棚があり、その右側に経営理念らしき額。

 

そこに書いてあった文字に、思わず吹き出してしまいそうになりました。達筆というか、おそらくどなたかに書いていただいたものでしょう、署名と紅い落款がありました。その書は黒々と『お客様第一主義』と。

 

やがて降りてこられた60代後半とおぼしき社長に、2階の社長室に招かれましたが、そこにも立派な額が。そこに書いてあった文字は『誠意』。そして名刺を交わした後、長々と独演を聞かされることになりました。

 

何の話って?そりゃぁ、過去の栄光の話に決まっているじゃないですか。

 

その後、その会社を二度と訪れることもなく(お声をかけていただいて機関には丁重にお断りして)、数年後その会社が地元の大手の会社に身売りされたことを、風の噂に聞きました。

 
ちなみに、私(ヴァンガード経営研究所)は、現在『お客様第一主義』よりも『社員とその家族(の幸せ)第一主義』経営を勧め、指導させていただいています。

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