B/Sが読めますか(9)

いよいよBS左側の資産、上段にある流動在庫の中でもなかなか「厄介な」在庫(棚卸資産)についてのお話です。


棚卸資産の中身は、商品・製品、半製品、仕掛品、材料・原材料、貯蔵品といったものです。


商品とは、販売業でそのまま販売できるもの(仕入れたもの)です。


製品とは、製造業で自社製造して出来上がっもの、つまり売れる状態のものです。


半製品は完成するちょっと前の製品ですが、そのままでも販売可能なものを指し、科目上は製品に含めます


似たようなものが仕掛品ですが、こちらは製造途中のもので製品になる手前のもので、工場内にあります。


材料・原材料とは、製造するために仕入れた(調達した)原料あるいは材料のことです。


貯蔵品とは、事務用消耗品や消耗工具、燃料などでまだ使っていないもの、販促品や包装資材など、


あるいは切手や印紙で、今後使う予定で残っているものも貯蔵品に含めます。


これらは棚卸によって金額(評価額)を確定します。


棚卸には、帳簿上(最近はコンピュータ上)の棚卸と実地棚卸とがあります。


実際にあるものを数える実地棚卸(実棚)が、正しい決算するためには絶対に必要となります。

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業種業態にもよりますが、商品の回転が早いところでは少なくとも毎日か毎週棚卸を行うことが望ましいでしょう。


かつての私の会社は季節変動が大きく、商品回転も平均で4回転くらいでしたから、半期に1回の実地棚卸でした。


月次決算(月次残高試算表)については、コンピュータ管理の在庫数値でやっていました。


誤差は承知ですが、実地棚卸には時間がかかり(当社では1日半~2日)ますから、やむを得ないところでした。


ですから、実地棚卸をするとどうしても誤差(差異)が発生しますので、


差異のある商品については棚卸をやり直したり、最終的には現物主義で「洗い替え」をしていました。


棚卸資産だけでなく、資産の残高数値を正確に把握しないと決算自体が正しいものになりません。


つまり利益そのものが信頼できる数字にならないことになっては、経営が成り立ちませんから、


とくに期末の残高合わせ、実地棚卸は慎重の上にも慎重に行うことが大切です。

B/Sが読めますか(8)

前回(先週)、コラムの最後の方でよい税理士さん(税理士事務所)を選ぼうと書きました。


「よい税理士」さんというといささか曖昧なので、具体的な条件を記しておきましょう。


ただしあくまで私の主観・私感で、いささか思い込みもあるかも知れませんので念のため(悪しからず)。


その前にまず、経営者の方に知っておいてほしいのは、税理士さんの主たる仕事は「税務会計」だということです。


これが何かというと、平たくいってしまえば(企業が)税金を正しく払うための会計事務をしていただくということです。


そして税務会計と、経営者が知りたい会計情報の間には差異、あるいはスキマがあるということです。


ですから、税理士さんはあなたの会社の「経営アドバイザー」や「コンサルタント」ではありません。


だから「経営コンサルタントの私にお任せを」ナンテことは申しませんよ。


言いたいことは、経営も分かる、経営についてもアドバイスしていただける税理士さんにお願いすることです。


どうやったら税金を払わんでも済むかだけに血道を上げてくれる方には、大事な会社の命運を任せないように。


とまぁそのくらいにしておいて、肝心の話をしなければなりませんね。

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売掛金ですが、売上債権にはもう一つ「受取手形」という科目があります。


その殆どは約束手形(為替手形もありますが使い方は現在はほぼ同じ)ですが、手形取引の多い会社は、


しっかり管理しないと手痛い目に遭いますし、とくに裏書きで支払にも使っている場合には最大のご注意を。


約束手形は、記入してある期日に額面金額を「現金で支払います」という約束を記した紙ですが、


文字通りの紙切れになってしまうリスクを常に伴っている、ということを忘れないでほしいのです。


営業マンの中には、取引先から手形をいただいてきて「集金が完了」したと思っているとしたら大間違い。


売掛金という科目が受取手形という別科目にスライドしただけで、売上債権のくくりから抜け出てはいないのですから。


故・一倉定先生は、「手形は切るな、手形はもらうな」と口を酸っぱくして言われていました。


手形を切るなということについては、またいずれ触れることになるはずです。


とにかく、キャッシュフローすなわち資金繰りについてリスクになる要素は、極力なくしていきましょう。


では次回からは、もう一つキャッシュフローに強い影響を与える「在庫」について触れていきます。

B/Sが読めますか(7)

強い意気込みを持って、大きな夢を持って起業される方が増えています。


年齢の若い人も少なくありませんが、企業でキャリアを積んで早期退職して創業される方も目立ちます。

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また昨今は、大企業などで副業を認めるところも増えてきているせいか、週末起業などの例も見られるようです。


たいていは手持ちの資金が元手ですから、比較的少ない資本でスタートされますが意外に初期投資って多いものです。


とくに製造や物販の仕事となると、仕入や設備関係の費用が先行しますので、キャッシュフローがキツくなってきます。


永年経営をしている経営者には至極当たり前のことですが、創業・起業される方は前のめりになっておられるせいか、


この当たり前のことにはとんと疎いようなので、あえて今日の解説の前に書いておきました。


さて前回の続きで、当座比率=当座資産/流動負債 ということについてです。


当座資産は、現預金とすぐに現金化されるもの(資産)ですが、「間違いなく」現金化されるとは限りません。


何度も書いてきましたように不良化した売掛金は、現金化するためには大変な努力を必要とします。


私も初めて経営者になった時に、任された会社には少なくない額の不良売掛金がありました。


長いものでは、もう7~8年前から残高として残ったままの売掛金がありました。


その会社では決算月(6月末)の2ヶ月前の残高を元に、お得意先に「残高証明確認書」をお送りしていました。


その返信が戻って来るのを待って合わせていくわけですが、差異の理由がハッキリしているものはすぐに処理します。


ところが理由にハッキリしないまま残ってしまうもの、そもそも返信のないのに差異があるものなどがそのままに放置されてしまい、年が経ると合わせることが不可能になります。


理由が明瞭でも先方の一方的な言い分であることもあり、これは営業(交渉)力がないと解決に至りません。


そういったことによる「膿」が溜まり溜まった金額が数100万円、BSの左側の、本来健全であるはずの当座資産の中に埋もれていました。


これを処理するには、右側の科目のどれかと相殺しなければならないのですが、それは純資産科目です。


端的には「利益」をマイナスしての償却、ですから処理しても利益(経常利益)が残るようでないとなかなかやれません。


創業・起業された方は、次第に増えていく売掛金をしっかり見詰めながら、確実に回収(集金)することに注力して下さい。


回収遅れ、あるいは「必ず100%回収」原則が崩れると、不良化予備軍がジワジワ増えていくことになりかねません。


あるいは手形(約束手形や先日付小切手など)をもらって、これで集金完了と言っていては経営者失格です。


そういう基本的なことを殆ど知らないままに経営していくことは大変危険です。


決算書が読めない、BSなんて全く分からない、そんな経営者になりませんように。


自分がもしダメだったら、有能な経理マンあるいは経営の分かる税理士さんにしっかり報酬を払って、自分の傍らにいてもらいましょう。

B/Sが読めますか(6)

前回は流動資産を取り上げ、その中の売掛金について少し詳しく述べてみました。


この売掛金を含め、容易に現金化できる(はずの)ものを当座資産と言います。


あらためてピックアップしますと、当座資産とは現金・預金、受取手形、売掛金、一時所有の有価証券など、
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要するに現金(プラス預金)そのものと、短期間に現金化できる資産のことを指しています。



ただし売掛金のところで言いましたように、すぐに現金化が可能かどうかということには?マークが付きます。


前回例に上げました焦げ付いた売掛金(不良売掛金)は、相当の努力をやらないと回収(集金)不能でしょう。


もちろん相手方(売掛先)が倒産や廃業してしまっていては、回収はほぼ不可能だと言えます。


そんな売掛金残高をいくら抱えていても、「飯の種」にはなり得ません。


受取手形も同様で、倒産会社や廃業先の不渡り手形は単なる紙切れですが、そのままでは立派な当座資産です。


一時所有の有価証券は証券市場で売れますが、取得価額を下回っては損失を招きます。


持ち合いの株式などは原則として売ることができませんから、当座資産からは外しておかねばなりません。



なお、不良化した売掛金や不渡り手形などは、利益との相殺で資産から除外しておくのが妥当です。


しかし償却することで利益を下げるわけですから余裕がないとできませんし、赤字を抱えていては思い通りには償却することもできないでしょう。


実は私のいた会社でも、かなりの不良売掛金を抱えていましたので、それを償却するには数年かかりました。


ところで預金(定期)も会社の自由にならないことがあります、原則は禁止されている「拘束性預金」です。


借入金のための担保と見なされていることもありますから、非常の際を除いては銀行が頭を縦に振らないことも。


定期性預金を残したままで、借り増しを依頼できる銀行との良好な関係があれば問題はありませんが。


さて、当座資産を(BS右側の)流動負債で割ったものが当座比率です。


流動負債は「すぐに返さなければならない」ものですから、余力があるかどうかの指標になるのです。


当座比率が100%を下回っている企業は、すぐに資金がショートすることになると見なされますから、取引継続するには危険度が大きいとされてしまいます。


建設業などの未成工事受入金は前受金といえますが、当座資産から外して計算するように指導しています。


私は経営指標の多くは余り重視しませんが、当座比率はこまめに見るようにしています。


ただし、上記のように「不良化している」資産をキチッと除外しなければ、無意味な比率になってしまうことに注意です。

B/Sが読めますか(5)

本論に入る前に、ちょっと横道にそれてみます。


少し以前から、(とくに)大企業は利益の蓄積(利益剰余金)をやりすぎではないか、それに対して税金をかけよとか、


それを放出して従業員の給与や福利厚生の向上に充てよ、という主張や議論がなされています。


いわゆる内部留保を悪者扱いにして、その部分を吐き出せと言うことなのでしょう。


全面的に間違いだ、暴論だなどとは申しませんが、そもそも利益剰余金とか内部留保がなんたるかを分かっていないですね。


これらはBSの右下、すなわち純資産の中の繰越利益剰余金や別途積立金などの科目として計上されています。


ただ、それが全てBS左上の「現金・預金」ではありません。その他の資産項目となっているわけです。


全てが現預金であれば、それを従業員の給与アップに充てよということも不可能ではありません。


しかし、事業に必要不可欠な資産(とくに固定資産)に形を変えていたとしたら、それを取り崩すなどできないでしょう。


もちろん、内部留保が企業の規模やその他の面から見て過大すぎるというのは、問題があります。


なぜならそれは、もしかしたら従業員や外部協力先(仕入先、下請け先)などに労苦を強いて蓄積したのではと、感じられるところが否めないからです。


では、横道から本論に戻りましょう。


さてまずはBSの左側、その上の方にあるのが流動資産の科目です。Photo2_20201010074201


流動資産とは簡単に言いますと、現金・預金ならびに「1年以内に」現金化されるものと定義されています。


現金・預金は分かりますが、その下には売掛金から始まり、受取手形や在庫、貸付金、仮払金と言った科目がずらりと並びます。


売掛金は製品・商品を販売し、その代金がまだ回収(集金)されていないものの集積です。


いずれは集金されて現金化されるわけですが、それまでは「販売先(得意先)にお貸ししておく」金額と思って下さい。


貸したお金ですから当然返してもらう、つまり堂々と「約定に基づいて」集金してくれば良いのです。


即時現金商売でない限り、売上はまず売掛金になるだけですから、そのまま放っておくとキャッシュが窮屈になります。


いくらたくさん売り上げたと威張っていても、「集金してナンボ」だということを忘れないで下さい。


この売掛金がいつまでも残っている、いつまで経っても払って(集金させて)もらえないのが「不良売掛金」です。


あなたの会社の売掛金残高の中に、この不良売掛金(不良資産)はありませんか?

B/Sが読めますか(4)

さて話をBS(貸借対照表)に戻します。


PL(損益計算書)がある一定期間(通常は1年間)の成績表=通知表であるとするならば、


BSは、創業あるいは設立の時からの歴代経営者の成績積み重ね表と言ってもいいでしょう。


公認会計士のある人に言わせると、そこには経営者の意思が感じられる、心が反映されているそうです。


ところが残念なことに、小さな会社の多くの経営者がBSの本質を分かっていません。


私もコンサルタントとして200社を超える会社の経営者にお目にかかりましたが、


例えば自社の自己資本比率をお尋ねして、正確に即答された方は1割か2割に満たないくらいです。


このコラムをお読みになっているあなたはいかがでしょうか?Photo3_20201004164501


あるいは、これまでの自己資本比率の動きを、例えばここ3~5年間どう推移しているのか答えることができますか。


前々回くらいに書きましたが、BSの左側は会社のあるもの(資産)がどう使われているのかを表しています。


そして右側の数字は、それらはどういうお金が元になっているのか、どのように調達されたのかを示しています。


右側の上側は「負債」と呼ばれ、流動負債と固定負債に分けられますが、要するに「借金」類です。


その下にあるのが純資産、すなわち自己資本と言われるもので「返す必要のない」お金=資本です。


資本金とか、過去からの利益の積み重ねとか、今期(今年度)新たに積み上げた利益などの集積です。


この部分が右側、つまり総資本(負債+純資産)の何%であるかを示すのが、自己資本比率です。


平たく言えば、会社にあるもの(の全て)が、自分の金でできているのか、他人の金でできているのかということです。


自己資本比率50%の会社であれば、半分は自分の金でできているということになります。


一方、自己資本比率が10%の会社は、大半が借金(類)によって形作られているというわけです。


ですから自分の会社の自己資本比率を知っていることは、経営者として当たり前でなければならないのです。


規模の小さな会社なら、自己資本比率100%ということもないわけではありませんが、


それはごくごく小さな商いしかしていない、してこなかったという証でもあるわけです。


そこそこの商いをすれば、仕入を掛けで行うことも通常であり、銀行からの借入も必要になります。


この2つは負債科目ですので、これらの残高があれば自己資本比率100%にはなりません。


それでも自己資本比率が高いということは、企業基盤がしっかりしているという証明になります。


とりわけ歴史の中で積み上げられてき積立利益のウエイトが高ければ、


信用という目に見えない「財産」も並行して積み上げられてきた、と見て間違いないでしょう。


ではさらに、このBSについて踏み込んでみていくことにしましょう。

B/Sが読めますか(3)

経理のことなどは、税理士や社内の経理担当者にお任せという経営者がたくさんいらっしゃいます。


財務諸表などはその経理の中の一つに過ぎないので、ザッと見ていればそれで良いとでも思っておられるのでしょうか。


しかし、ある方などは「経理の分からない経営者は経営をやる資格がない」とまで言い切られます。


私も同感です。でも実際には経理を分かっておられない経営者の何と多いことか。


そもそも「経理」とは何か、いろんな方が書いておられますが、「経営管理」を略したものと私はとらえています。


小さな会社の多くの経営者は、経理とは会計業務に限定した見方をされているようです。


つまり伝票や領収書などを集めて、会計仕訳をして集計して、様々な帳面・帳票類を作成していくことだと。


もちろんそれらも広義の経理の中に含まれていますが、それは経営管理(本質)のための仕事の一部に過ぎません。


何しろ経営管理です、経営の根幹をなす仕事として経営者には必須のものであり、自ら携わるべきものです。


だからといって会計業務などをやれと言ってはいません、それは業務担当者や税理士に任せればよいのです。


そこでは数多くのデータを処理して、それによって経営に必要な情報(インフォメーション)に加工してくれます。


経営者はそれらのインフォメーションを活用して、経営の判断・意思決定に不可欠な高度情報(インテリジェンス)を創ります。


インテリジェンスを創るにおいては、専門家のアドバイスやサポートなども必要によって求めます。

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ちなみに私の本業はそこにこそあります、笑笑。


ちょっと今回は寄り道をしてしまい、BS(貸借対照表)の話まで達しませんでした。


でも、上記に書いたようなことをしっかりと認識、自覚していただくことが大切です。


なにしろ、経営判断をし今の時点の、そして明日に向けての行動意思決定をするのは、経営者自身だからです。


経営者がやらなければ誰がやるというのです。


私のようなコンサルタント(サポーター)が、経営の意思決定などしてあげるわけにはいかないのです。


経営者が全責任を持って意思決定をするのです、社員やその家族の幸せのために。


それこそが本当の「経理」というお仕事です。

B/Sが読めますか(2)

復習になりますが、BS(貸借対照表)が表しているのは、会社の「ある日」の「残り物」です。


ですからBSのことを残り表ともいうわけで、むしろこちらの言葉の方がずっと分かりやすいですね。


決算書(財務諸表)では期末(年度末)の残り表を指して、期末貸借対照表と呼んでいるわけです。


例えば3月末が年度末であれば、20××年3月31日に会社に残っているものの一覧表ということになります。


この残ったものについてお金に直して、その金額を記載してあります。


BSには左と右があり、左側を借方、右側を貸方と呼んでいますが、経営管理つまり社長にはどうでもいいことです。


左側に書いてあるのを資産といい、主として目に見えるものですが、中には見えないものもあります。


右側に書いてあるのを負債と資本(純資産)といい、主として目に見えないものを扱っています。


目に見えないままでは困りますので、お金という見える数字(残高)にして記載しているということになります。


合計金額が一番下に書いてありますが、左側の合計が総資産で右側の合計が総資本です。


もちろん当然ながら、総資産の数字と総資本の数字はイコールです。


左側(資産)は三つの部屋に湧かれています、流動資産と固定資産、そして繰延資産ですが繰延資産はない場合も多いです。。

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右側は三つの部屋で、上から順位流動負債、固定負債、そして純資産(自己資本)となっています。


一般的には、左側のお金は「運用」と呼ばれており、右側はそのお金をどこから「調達」しているかを表しています。


そして、左側は逆三角形を目指し、右側は二等辺三角形(あるいは正三角形)を目指します。


具体的にいえば、流動資産の方が固定資産より大きいことが経営上は有利です。


つまり資金(お金)は流動性を高めておきましょうと、税理士さんなどからはアドバイスされると思います。


一方右側については土台ともいうべき純資産を増やすことが大切です。


総資産(総資本)に対する純資産の割合を「自己資本比率」と言いますが、


この比率を高めるには毎年キチッとした利益(純利益)を出し、利益(別途積立金項目等)の積増しを計るに尽きます。


同族企業やオーナー企業などでは、自己資本比率が比較的高いところが多いですが、


通常企業でも30%は一つの目安で、それより高いことが望まれます。


無借金経営も一つの目指す形ですが、これは一概に絶対よしとは言い切れません、それはまたいずれ。


それでは、次回はさらに具体的な科目について見ていくことにしましょう。

B/Sが読めますか(1)

財務三表は、貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、そしてキャッシュフロー計算書(CF)です。


最後のCFは基本的には上場企業のみが義務づけられていますが、


実際には税理士さん(税理士事務所)が作成して会社に届けておられるでしょう。


会計ソフトを使って自社で決算されている場合には、基本ソフトに組み込まれているはずです。


経営者はこの三つのどれもキチンと目通しすることが必要ですが、実際にはどうなのでしょう。


月次の残高試算表も含めて、まず目を通されるのはPLだと思いますが、それは「利益」が記されているからですね。


もっとも利益といっても、PLの中には5つの利益が示されています。


上から順に売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期利益、当期純利益の5つです。


ではこの内、どの「利益」をしっかり見ている必要があるのか、そこのところはその理由と共に理解されていますか?


あるいは経営者と、現場の経営幹部とではみる利益が違う、と言いましたらそのことがお分かりになりますでしょうか。


そのあたりのことはまたの機会に譲って、今日はBSのことについてです。


PLが「期間」損益計算書と言われるのに対して、BSは通常「期末」貸借対照表と呼ばれています。


つまりPLが一定の期間(決算書では当該年度の1年間)の集計数字であるのに対して、


BSはある日、ある時刻の数字、決算書では年度の最終日最終時刻の「残高」数値ということになります。

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言ってみれば、BSは毎日毎日「昨日とは違った数値(本日のBS)」が示されています。


PLとBSに共通している数字は、どちらも最終行に記載されている「当期(分)純利益」です。


ここでちゃんと2つの数値がつながっている、ということが大切なポイントです。


多くの専門家の方は、『BSをキチンと読めること』が良き経営者の条件であり、


BSを正しく呼んで理解することが、「会社を強くする」ことにつながると言われます。


私も同感ですが、でもなぜそうなのかということは余り説明されていませんし、


多くのハウツウ本を読んでみても、なかなか理解できない経営者が多いのではないでしょうか。


ただ、経営者の中には頭では理解できなくても、肌感覚でBSが分かる方も少なくないのだと思っています。


それは「経験と勘」と名付けられるものでしょう、大切で欠かせないものです。


ただし、そこに科学的な裏付けというか週も納得できる合理性という理由が必要です。


BSの中には経営者(の経験と勘)を後押しする数字、あるいは行間の意味が詰まっています。


しばらくはそんなポイントについて、思いつくままに書いていきます。

支払遅延への対処はどうする

GoToトラベルキャンペーンが、東京都民や東京発着トラベルにも対象が広がるとか。


さらにはGoToイートキャンペーンも始まるとかで、宿泊業、飲食業にも光が差すのでしょうか。


反面で感染拡大を助長してしまわないかという声もあり、どうバランスするのか難しいところです。


さてそういったコロナ禍の中で、小さな会社はキャッシュフロー(資金繰り)に毎月頭が痛いことと思います。


平常時には1ヶ月分、厳しい状況でも3ヶ月分の売上高に相当するキャッシュがあれば乗り切れると言われていました。


ところが新型コロナウイルス感染の拡大が終息どころか、終息についても見えない状況では様子が変わっています。


すなわち、半年や1年先、さらにはその先まで想定した運転資金の準備が必要という声も聞かれます。


そういう相談に対する答はなかなか一概にこうだというのは難しく、また業種業態でも大きな差があります。


相談の2番目は売掛金の回収で、これは平時にも少なくない相談事ですが、コロナ禍の影響で増えているのが実態です。


有り体に言えば「取引先からの支払遅延」が増えているということで、


相談側も資金繰りには苦労している状況ですので、相手の状況は分かっても手は抜けないということでしょう。


ところが、こんなことも知らないんですか?といったような事実があるのです。


それは「請求書には時効がある」ということで(民法173条)、しかも2年間です。


いやぁ当社は大丈夫ですよ、毎月請求書を出していますからと言われる経営者や経理部長がおられるのです。


債権は取引時点で発生しますが、最初の請求書を送ったところから時効期限が始まると思って間違いありません。


そしてその時点から2年間「債権を行使」しないと、時効が成立して債権そのものが消滅してしまいます。


その債権行使は、請求書を送って済むものではありません。


ではどうしたらよいのか、そのくらいことは知っていていて下さいよとも言いたくなります、何しろ「非常時」なんですから。

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通常行うのは催告で、一つは内容証明郵便で請求書を送ること、それでも埒があかねば裁判所から督促状を送ってもらうことです。


その他にも面倒な法的措置はありますが、まずは社長自ら先方に電話するなり、訪問してみることです。


取引先に「支払う意思」があるのかないのか、また経営状況はどうなのかをしっかり確認することです。


その上で粘り強くアクション(催告)を繰り返すこと、たとえ1円でも相手が支払えば「支払意思がある」と見なされ、その時点で2年の時効は中断します。


そういうことを知らなかった、では済まされないことですので社長の役割をしっかり果たして下さい。


また平時に戻った際には、取引先との支払についての書面約束、あるいは保証人や担保請求など少し厳しいと思われる措置も必要ですよ。


何しろ、自社の社員の幸せ(平穏)な生活も懸かっていることをお忘れなきように。


あくまで「自分もよし、他人もよしの姿勢(心)」を保ち続けることを土台として。

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