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全部原価があなたの会社をダメにする(その3)

かつて私はとある製造メーカーに勤めていました。幸か不幸か、営業部門にも製造部門にも配属されることなく10数年が経過。だから、原価計算のことなど考えたこともありませんでしたし、もちろん全部原価計算(FC)で製品コストが計算されていることも知らなかったのです。
 

時々製造部門、すなわち工場に足を運ぶことがあり、そこでは生産性の向上がスローガンや毎日の目標として掲げられていたのを見て、製造部門も大変なんだと思ったくらいのことでした。
 

生産管理課というところで原価計算をしていたようですが、やたらと数字が並んでいて親しめませんでした。「今日は生産性が上がっているので、目標利益はクリアできそうだ」などと話しているのを、利益というのは営業部だけではないのだと感じたものでした。
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それがMGに出会い、原価計算に2種類あって、製造メーカーはFCなのだということを知るわけですが、まだ原価計算の入り口のところでとどまっていました。ただ、生産利益なるものは一体何だろうと素朴な疑問を抱いたものでした。
 

利益とは、簡単に定義するなら売価から原価を引いたものです。原価は分かった、しかし生産部門の売上って何だろうか。どこへ一体売っているのだ?しかも支店や営業所には「原価移動」で、一般の得意先を相手にしている本社営業部には一定の利益を乗せるのだという。
 

それは標準原価なるもので計算をされた原価を下回ると利益が出て、上回ると利益がマイナスになることがあるというのです。つまり、本社営業部への「移動標準価格」があらかじめ設定されていて、生産効率が上がれば原価が下がるので利益が出るというのです。
 

分かったような分からぬような不思議な感覚に襲われました。一体、生産(部)利益って何だ?さらに分からないのは標準原です、そいつはどうやって決めているんだい?
 

MGでは、お客様に販売する、つまり売上が上がるのは営業部門だけです。当然だ、世の中のお客様が勝ってくれてナンボなのですから、これはよく分かります。材料売却といって、材料を販売して儲けを出すこともできますが、会社のいう生産利益とはそうではないようです。
 

いよいよ頭が混乱、もしかしたら、生産利益とは夢幻なのではないでしょうか?
 

たとえば、製造部門が一所懸命製品を作った。それを営業部門が売ってはじめて売上となり、そこから利益が生まれてくる(正確には計算される)わけです。製品は、営業所あるいは流通部門の倉庫に保管され、そこから社外に出なければ利益にはならない、というのが常識でしょう。
 

ところがそうではないらしい、製造部が作っただけで生産利益なる利益が計上されるのだとさ。もしそれが全く売れなくて、倉庫に滞留したらどうなるんだ?それでも利益が上がるのかな?

製造部の人たちが努力を重ねてくれるのは分かりますが、生産性が倍になって倍の数を作っても、全部が売れてしまえばいいけれど、もし半分余ったらどうなるの?もうとにもかくにも????の連続でした。
 

以上はFCの弊害ではなく、考え方の問題なのですが、根っこはやはりFCに問題があるのです。生産性が上がればコストは下がり、その分(生産)利益が増えるのだという考え方がおかしいのです。
 

MG200期くらいやって、販売会社に出向した時に、FCとの新たな闘いが始まりました。何より、FCにはお客様という視点が欠落している、そのことに気付かされた時に、「マーケットプライス」すなわちお客様の望む・求める価格という考え方が分かりました。
 

今日も相変わらず、製造メーカーは生産利益を上げるべく、血道を上げているのでしょうか。正しい原価でマネジメントできる体制を、作らないとお客様から見放されますよね。

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