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全部原価があなたの会社をダメにする(その2)

全部原価計算(FC)と直接原価計算(DC)とはどう違うのか、MGセミナーでこれを説明する時には、「天丼屋」さんを例に挙げます。

 

ある1軒の天丼屋さんがあります。厨房が一つですが、店の中は左右に分かれていて、左側はFCの店、右側がDCの店です。お客様は、どちら側に座るか自由に選べます。天丼を作るのはパートのおばちゃんです。

 

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このおばちゃんは標準として(平均して)、1日に10杯の天丼を作ります。1日の賃金が3千円ですので、1杯あたり300円の計算になりますね。材料(エビ、小麦粉、野菜等、米、醤油代など)代は、1杯あたり500円となっています。電気・ガス代や製造経費も1杯あたり標準で300円です。

 

これをまずFCで原価計算します。FCにおける原価は、材料代+労務費(つまりおばちゃんの賃金)+製造経費ですので、標準的には500+300+300円で合計1100円です。売価はこれを0.7で割りますので、1570円です。

 

0.7で割るのは、原価の割合が売価の70%に相当していると経験的にわかっているからです。こうして、お店の左側に座ったお客様には1570円の請求書が置かれます。

 

さて、右側に座るとどうなるでしょう。DCにおける原価に含まれるものは、基本的に材料代だけですから500円です。通常食べ物屋さんの材料比率はざっと1/3(33%)ですので、この材料代に3を掛けて、1500円の請求書が置かれます。

 

さて、このお店のしくみを知っているあなたは、どちら側に座りますか?

 

ここで問題は、このおばちゃんが本当に今日は10杯の天丼を作るのかです。ある日、張り切ったおばちゃんは20杯作りました。こうなると1杯あたりの労務費は300円ではなく、150円になりますね。電気代・ガス代なども若干下がります。

 

ですが、またある日は体調不良もあって5杯しか作りませんでした。そうなると1杯あたりの労務費は600円、電気代などは毎日同じ時間店を開けていると、ほぼ同じくらいかかります。

 

お分かりでしょうか。FCでの原価計算はその日に作る量によって、原価がその都度変わってしまうということです。しかも1日が終わってみないと、本当の原価が分からないことになります。

 

製造現場では毎日これが繰り返されています。生産効率が上がった時と、逆に下がった時とでは原価が大きく異なるかも知れません。だとしたら、販売を担当する営業部は、どの原価を元に売価を決めればいいのでしょう。

 

そこで、標準原価だの想定原価や平均原価だの、訳の分からぬ数字を持ってきて原価を決めたりしています。いい加減だなと思われませんか?

 

これに対してDCの場合は、1杯しか作らなくても10杯でも20杯作っても、原価は基本的に材料費だけですので、上の事例の場合には500円で一定です。よって売価も1500円ですから、ちゃんとメニュー表に書くことができます。

 

反論される方もいらっしゃるでしょう。だって、日本の製造会社はちゃんと原価計算してやっているじゃないか、と。

 

そうです、もちろんそうせざるを得ませんから。毎日同じ製品・商品なのに原価が上下してはたまりませんから、適当に納まるところの原価と売価を計算しているのです。でもそれって科学的ですか? 合理的だと言えますか?

 

それだけではありません、もっと大事なことが隠れています。次回はそのことについて、触れていこうと思っています。

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