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大口得意先に対する決断(その2)

A社長はついに断を下し、Z社に「取引の停止」を通告しました。現在の売掛残高分が完全に入金されない限り、新たな出荷はしないこと。もしどうしても必要な商品があれば、現金と引き換えに納品することを、担当者であった営業部長から伝えました。

部長によると、売り場の担当者は激怒したそうです。しばらく待つように言われ、待っていると先方の社長が現れたそうで、「どういう気なんだ」と強い口調で詰問されたそうです。しかし部長も歴戦の強者、しっかりとこちらの意思を伝えたとのことでした。

しばらくは音沙汰のない日が続きましたが、ある日FAXでの急ぎ注文が入り、追いかけて売り場の担当者から電話が入りました。お客様からの注文が入りどうしても出荷しろと、あくまで高飛車に言うのですが、応対した女性もベテラン中のベテラン、きちっと社長からの厳命を伝え、相手の返答を待たずに社長と変わる旨を申し述べました。

A社長はここが肝心と丹田に力を込めて、会社としての意思を明確に伝えました。そして最後に、「お客様に迷惑をかけることは残念だが致し方ありません」と付け加えました。叩きつけるように電話が切られました。

またしばらくして営業部長に電話があり、支払いをするので来てほしいとのこと、しかし出向いた部長からの電話で残高不突合金額を差し引いた金額で、しかも手形での支払いだPhoto ったのでどうしたらよいかとのこと。受け取りを拒否するように言い、明日社長自身が出向くことを伝えてもらいました。

手形で集金したのでは、売掛金が受取手形に科目が代わるだけで、「売上債権」額自体は変わりません。さすがに経営の勉強を一緒にやっている部長だけに、そこのところはきちっと理解していました。

翌日訪問しての話し合いは、予想通り最初から平行線です。むしろこちらから返品の受け入れを申し入れ、他の地域で売れる見込みのある商品を主体に、返品伝票を切りました。それでも不突合を含めてまだ多額の売掛残高が残りましたが、A社長は腹をくくりました。預かっている手形が期日に落ちることだけを祈っていました。

幸い手形は事故なく決済されました。Z社からは何度か現金での取引依頼があり、それに対しては対応しましたが、それ以外の支払いは滞ったまま1年後、Z社は破産手続きを取りました。A社長は、決断のおかげで傷を小さくできたと胸をなでおろしました。

Z社と切れたおかげで、二・三番店クラスながら地域の中堅店数店との取引が始まり、時間はかかりましたが従来以上の成果を上げていくことができました。

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