« ビジネスでホテルを利用する客の嘆き | トップページ | 藤原不比等の登場前夜 »

経営管理に使ってはいけない「利益率」について

先日、このコラムで「売上高経常(営業)利益率」のことを書きましたが、ある経営者の方からこの利益率は「無視してはいけない比率だ」としかられました。別に無視しろと言った覚えはないのですが、「(経営管理に)使うのは無駄だ」と言いたかったことは事実です。

もちろん、その時にも書きましたが、この数値を経営目標にされている会社もありますし、それで素晴らしい業績を上げておられる会社も存在します。ただ、高い利益率を出すために、数字の操作をしたりすることは間違いだとは申しました。言い換えれば操作しやすい率ですので、そんなものに寄りかかる経営はどうかなと言いたいわけです。

また、根本的な間違いをする事例をいくつも上げることができますが、今日はその中の一つ、私の会計セミナーの中で時々使う事例を紹介します。

【A社の事例】
 ・売上高 1億円  ・売上高総利益(粗利益) 2500万円/粗利益率25%
 ・販売費一般管理費 2000万円  ・営業外損益なし  ・経常利益500万円(利益率5%)
Photo このA社で、社員から「新しいパソコンを買って仕事を効率化し、正確迅速度や処理量を上げたい」という提案がありました。パソコンはソフトも含めて10万円です。そこで社長は、「それに見合う売上アップをしてくれればOKだ」こ答えました。

そこで社員は「どれだけ売上を上げれば良いですか」と尋ねました。社長は「200万円だ」と答えました。これは10万円を利益率5%で割って、算出したものです。社員はしばらく考えて、「とても200万円は無理です、パソコンはあきらめます」と言って退出しました。

さて、この社長の答は正しいのでしょうか。学校のテスト問題なら、これで良しとなることでしょう。経営の専門家(税理士さんや診断士さんなど)と呼ばれる方々も、たいていはこういう答をされることでしょう。

でも経営は算数ではありません、現実なのです。もし私であれば、「40万円だけ売上アップしてくれないか」と答えますし、提案があった時に間髪入れずOKだと言うでしょう。では、どうして40万円売上増という答が出てくるのでしょう。

これが分からないようでは、経営者失格だなどとは申しませんが、少なくともせっかくの社員のやる気を削いでしまってはもったいないことだと思いませんか。それが、使ってはいけない比率を使ってしまったから、ということに気が付いてほしいのです。

« ビジネスでホテルを利用する客の嘆き | トップページ | 藤原不比等の登場前夜 »

小さな会社のマネジメント」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/107188/64325568

この記事へのトラックバック一覧です: 経営管理に使ってはいけない「利益率」について:

« ビジネスでホテルを利用する客の嘆き | トップページ | 藤原不比等の登場前夜 »