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春過ぎて夏来るらし白妙の

春過ぎて夏来るらし白妙の 衣干したり天の香久山
百人一首でもおなじみの持統天皇御歌ですが、のどかな飛鳥の風景を詠ったもの、という解釈が一般的であり、私もそのように教えられて参りました。(万葉集では「夏来るらし」ですが、百人一首では「夏来にけらし」です)

でも、よくよく考えてみれば変な歌だという気はしないでしょうか。春が過ぎたら夏が来るのは当たり前じゃないか、ということは別にして。

Photo 天の香久山は大和三山と称される三つの聖なる山の一つで、あとの二つは畝傍山と耳成山です。いずれもそんなに高い山ではありませんが、大和盆地の南に位置する美しい山です。三つの山を結ぶ三角形の中心に、飛鳥の宮すなわち岡本宮や飛鳥浄御原宮、そしてそれらを統合した藤原宮が位置しています。

藤原宮(藤原京)は、持統天皇の代に着工され一応の完成を見ますが、10年くらいで平城京に遷都されます。それ故にさほどの規模とは見られなかったのですが、昨今の発掘を通じてかなりの規模であったことが分かってきました。

それはそれとして、そんな聖なる山の一つである香具山に、白い衣を干すなどというのはあり得ない所業ではないですか。おそらく宮から眺めた光景であれば、1枚や2枚の衣ではなかったはずです。ずらりと洗濯物が並ぶ? ありえないと思いませんか。

というわけで、いろんな方が諸説を述べられているのですが、私も単なる情景描写の歌とは思えない一人です。一説には、この衣というのは「天の羽衣」のことで、それは天女の衣ですから高貴なものであり、また高貴な位を表すシンボルであると。それが1枚干してあるのは、自らが天の下で唯一無二の存在であると歌ったものだと。

あるいは、その衣は天皇自身が手に入れたもので、天女から奪い取った、すなわち天下を制したのは自分であると誇示する歌なのだと。

なるほど色々と解釈もできるものですが、持統天皇の生涯、とくに天武天皇崩御の後を見ていくと、そういう解釈もあるのかなとうなづかされます。結論的に言うと、持統天皇は夫である天武とは違う意識を持たれていたのではないか。すなわち、天武系の天皇ではなく実は父である天智系の天皇だったと。

次回からは、その視点で事績を眺めてみることにしましょう。

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